新商品・季刊 アンソロジストブックジャケットスターターキット
作品リフィル あ行作品リフィルセット作品リフィル 詩歌
作品リフィル か行芥川龍之介太田靖久
作品リフィル さ行織田作之助徳田秋声
作品リフィル た行井伏鱒二
作品リフィル な行後藤明生
作品リフィル は行坂口安吾
作品リフィル ま行太宰治
作品リフィル や行宮沢賢治
作品リフィル ら行山本周五郎
作品リフィル わ行吉田篤弘
作品リフィル 文庫判・スクラム製本(綴じなし)

「ノーカナのこと」高見順

「裏切られても、私はノーカナを信じ、愛していた。私は印度人に絶望したくないのであった。私は人間を信じたいのであった」。従軍作家として日本軍占領後のラングーンで文化工作に従事する「私」は、日本人宿舎の使用人世話係として現地人と折衝にあたります。ごまかしや不正、同僚日本人への不信の中で傷つく私は、忠実に働くボーイ、ノーカナに信頼を寄せるようになります。しかしノーカナは私に隠れて物資の横流しをしていた……。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020104

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「ノーカナのこと」
田畑書店公式通販サイト 「ノーカナのこと」高見順


「不正確な生」 高見順

普通ならばゆうに定年を迎えている歳の作家の「わたし」が「若く見える」のは自他ともに認めるところ。外見だけでなく気も若く、屋台のおでん屋で出会った若い男女の真似をしてツイストを踊り、不覚にも脳貧血で意識を失ってしまう。一方、妻が看ている母は脳溢血で二度倒れるもいたって元気。その母から「実は」と生年が違っていることを告げられた「わたし」。自らの人生の曖昧さ、あやふやさを描いた文豪没前二年前の作品。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020906

田畑書店公式通販サイト 「不正確な生」高見順


「東京八景」 太宰治

東京で暮らしはじめて十年。自殺未遂、ヒロポン中毒、それから妻の不貞……激動の歳月を経ていま、作家にはようやくその年月を振り返る余裕が生まれた。ペンとインク、原稿用紙を抱えて訪れた伊豆の南の温泉宿で、作家は東京市の大地図を広げる。それはいつか書いてみたいと思っていた小説にとりかかるためだった。その小説とは、「東京八景」。戸塚、本郷、神田、八丁堀、芝、荻窪、武蔵野……地誌に生活史をからめて描いた名篇。(44頁・★5.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021767

田畑書店公式通販サイト 「東京八景」太宰治


「美男子と煙草」 太宰治

〝古いもの〟とたたかってきたつもりの文士だが、その〝古いもの〟たちからのいわれなき誹謗に口惜しさのあまり嗚咽する日々だった。そんな折、ある雑誌社から取材の依頼が。上野の地下道に浮浪者を見に行こうというのだ。捨て鉢の気分で向かった現地で出会った四人の少年はみな煙草を吸っていた。文士は彼らに焼鳥をおごるのだが……自己憐憫と道化の入り交じった自意識を、最下層の存在に重ね合わせてシニカルに描く。(16頁・★2個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021798

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「フォスフォレッスセンス」 太宰治

この世の現実は夢の連続であり、眠りの中の夢はそのまま現実でもあると考えている「私」は、夢の中にだけ存在する妻をもっている。ある日、締切りに間に合わない原稿を口述でとろうという編集者と、一升瓶を抱えて愛人宅を訪れるが、留守中に上った愛人の部屋で見た写真と花に、夢の中の妻のことばの意味を知るのだった。その花の名は、フォスフォレッセンス……これ自体が口述筆記で書かれたという虚実皮膜に満ちた一篇。(16頁・★2個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021781

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「貨幣」 太宰治

「私は、七七八五一号の百円紙幣です。あなたの財布の中の百円紙幣をちょっと調べてみて下さいまし。あるいは私はその中に、はいっているかも知れません」
大工さんの手から質屋へ、そして顕微鏡を質草に入れた医学生に連れられて旅に出た百円紙幣は、六年ぶりに東京に戻った……貨幣が女性名詞であることから、百円紙幣の女がたりをもちいて、敗戦色濃くなった日本の庶民の実態、軍人のえげつなさなどを活写した異色短篇。(16頁・★2個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021774

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「葉」 太宰治

「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。(b中略)これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った」有名な書き出しで短編集『晩年』の冒頭に置かれた初期の作品。祖母への愛着と隠された性の蠢きを描いた「哀蚊」という十九歳で書いた短篇の話、非合法運動に身を投じた経験の一端を垣間見せるフィクションなど、短篇小説の断片、エッセイ、創作メモ、アフォリズムなどを繋ぎ合わせた太宰文学のエッセンス!(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021736

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「逆行」 太宰治

「老人ではなかった。二十五歳を越しただけであった。けれどもやはり老人であった」自殺と心中の未遂を重ね、思想犯として投獄もされた激動の青春を経た自画像を描いた「蝶蝶」。落第が決まっているのに試験を受けに行く「甲斐ない行為」を描きつつ、母校・東京大学の校内を活写した「盗賊」。高等学校時代の放蕩を描いた「決闘」。田舎町を訪れたサーカス団のなか、檻に入れられたエトランゼに性の目覚めを覚えた少年を描く「くろんぼ」の四つの掌編を収める。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021743

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「ダス・ゲマイネ(上)」 太宰治

大学で仏文を学ぶ「私」は授業を抜け出して通う小さな甘酒屋で馬場という奇妙奇天烈な風体の男と知り合う。音楽大学に八年もいるという馬場は三鷹の地主の倅で、会うたびに異なった装いで現れ、その潤沢な財布で私を随所の遊びに連れ回した。至る所で虚実皮膜の大風呂敷を広げる馬場は、私を誘って「盗賊」という雑誌をつくろうと企てるが……登場人物に作者の「自己」をさまざま投影させ、終いには作中に「太宰治」まで登場させる遊び心あふれる異色作。(20頁・★2.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021750

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「ダス・ゲマイネ(下)」太宰治

大学で仏文を学ぶ「私」は授業を抜け出して通う小さな甘酒屋で馬場という奇妙奇天烈な風体の男と知り合う。音楽大学に八年もいるという馬場は三鷹の地主の倅で、会うたびに異なった装いで現れ、その潤沢な財布で私を随所の遊びに連れ回した。至る所で虚実皮膜の大風呂敷を広げる馬場は、私を誘って「盗賊」という雑誌をつくろうと企てるが……登場人物に作者の「自己」をさまざま投影させ、終いには作中に「太宰治」まで登場させる遊び心あふれる異色作。(32頁・★4個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022054

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「雪の夜の話」 太宰治

「少しお変人の小説家」を兄にもつ女学生・しゅん子は、身籠った嫂と三人暮らし。東京に雪がたくさん降ったある日、学校帰りに寄った中野の叔母さんからスルメを二枚もらったものの、雪の中に落としてしまいます。そのスルメは二人分お腹が減るようになった嫂に持って帰ろうと思ったもの。その時しゅん子は、いつか兄に聞いた「人間の眼玉は、風景をたくわえる事が出来る」という話を思い出します……イノセンスと諧謔が交錯する太宰文学の真骨頂。(12頁・★1.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020111

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「雪の夜の話」
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「駈込み訴え」 太宰治

裏切り者の代名詞ともなっている「イスカリオテのユダ」のひとり語りで、全編を一気に読ませる。「あの人」イエス・キリストに向ける愛憎、付き従う弟子たちに対する軽蔑……聖と俗、清と濁、無私とエゴなどアンビバレンツな感情と価値観を痒いところに手が届くようなレトリックで現わし、最後の着地に至るまで見事な「太宰節」が横溢する。妻・美知子に口述筆記で書き取らせたといわれる、太宰の才能が遺憾なく発揮された名作。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020913

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「女生徒(上)」 太宰治

「あさ、眼をさますときの気持は、面白い。」から「眠りに落ちるときの気持って、へんなものだ」まで。少女のさりげない一日をモノローグの文体で描く。父を病いで失い、姉は嫁いでいまは母親とふたり暮らし。学校のこと、友だちのこと社会のこと……大人になる一歩手前の女の子の無垢な内面を独特な語り口でなぞり、自意識とナルシシズム、理想と現実の間に揺れ動く心を絶妙に描いた太宰のフェミニンな資質が全篇にみなぎる傑作。(36頁・★4.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021378

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「女生徒(下)」 太宰治

「あさ、眼をさますときの気持は、面白い。」から「眠りに落ちるときの気持って、へんなものだ」まで。少女のさりげない一日をモノローグの文体で描く。父を病いで失い、姉は嫁いでいまは母親とふたり暮らし。学校のこと、友だちのこと社会のこと……大人になる一歩手前の女の子の無垢な内面を独特な語り口でなぞり、自意識とナルシシズム、理想と現実の間に揺れ動く心を絶妙に描いた太宰のフェミニンな資質が全篇にみなぎる傑作。(36頁・★4.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021385

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「葉桜と魔笛」 太宰治

三十五年前、父と私と妹は三人で生きていた。妹は腎臓結核に罹り百日ももたないと言われていたにもかかわらず、健気に生きる姿を見て、私は気も狂いそうであった。妹の箪笥を整理していたある日、私はM・Tという男性からの手紙を見つけた。ふたりの恋愛は醜くすすんでいて、私は手紙を焼き捨てた。M・Tとして紡いだ手紙を読んだ妹は、自らの過去に初めて後悔する……。病気と恋愛に翻弄される姉妹が信じられるものとは。(16頁・★2個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020937

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「HUMAN LOST」 太宰治

太宰二十五、六歳のころ、大学卒業危うく、都新聞の入社試験にも落ちて精神的に不安定な時期、盲腸の手術後の腹膜炎の痛みを抑えるため用いたパルビナールが癖になって、中毒に陥る。その治療のために様々な病院に入退院を繰り返した経験を反映して、板橋区の脳病院に入院した体験記を日記形式で綴った小説。精神が混乱を来し、支離滅裂になる直前の微妙なバランスを、一見書きなぐったように思わせながら、周到な構成も見られる。(44頁・★5.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020920

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「メリイクリスマス」 太宰治

一年三ヶ月のあいだ津軽で暮らしたのち東京に戻ってきた「私」が、十二月はじめ、東京郊外の街である少女に遭遇する。「シズエ子ちゃん。」彼女は私にとって「唯一のひと」の一人娘だった。記憶の中の幼い娘は二十歳になっており、その好意を恋心と受け取る私は十分に自惚ていた。娘を促して親子の住む家に向かう私だったが、娘は次第に元気を失い……戦後間もない東京でのある邂逅を哀切とユーモアを交えて描いた好短篇。(20頁・★2.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020951

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「姥捨」 太宰治

あやまった人を愛撫した妻と、妻をそこまで追いやった夫。二人は死ぬことでその結末をつけようと新宿の町をさまよう。睡眠薬を買い、映画を観て鮨を食べ、漫才を見ながら「この女を死なせてはならない」と思う夫だったが、もう勢いは止まらない。翌朝、かつて二人でひと夏を過ごした水上に向けて上野から旅立った。やさしい宿の老夫婦に別れを告げた二人は心中をはかるが……罪と無垢、コキュの苦しみと諧謔が渾然とした一篇。(36頁・★4.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020975

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「猿面冠者」 太宰治

「彼には、いけない癖があって、筆をとるまえに、もうその小説に謂わばおしまいの磨きまでかけてしまうのである。」……小説家たらんとする作中の作者が、小説を書こうとするときに陥ってしまいがちな落とし穴を惜しげもなく開示し、自伝的要素と道化と諧謔という太宰文学の主要なテーマをも偏在させつつ、小説家・太宰治の創作の秘密をうかがわせる、貴重なメタフィクション・ノベル。(32頁・★4個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020968

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「おさん」 太宰治

戦争が激しくなり、神田の雑誌社に勤めていた夫と離れ、「私」は子ども二人を連れて青森の里に疎開した。やがて無条件降伏となり、夫恋しさに東京に舞い戻った私は、やつれて卑屈でおどおどした夫を見いだした。それは失業や借金の疲れだけが原因ではなく、まるでたましいの抜けた人のように外泊を繰り返すのだった。そして真夏のある朝、だしぬけに温泉に行きたいと言い出した夫は……ニヒリズムの欺瞞を女性の視点から描く傑作。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021699

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「燈籠」 太宰治

貧しい下駄屋の一人娘は、齢二十四になるも未だ縁遠かった。それは貧しさゆえもあるが、地主の妾を娶った「日陰者」の家に生まれたからでもあった。その娘が、商業学校に通う五つ年下の学生に一目惚れしてしまう。みなし児で養家でも肩身が狭いという境遇に同情した娘は、友達と海水浴に行くといいながら沈んだ様子の水野のために海水着を盗んで村八分の目にあってしまう。ところが当の水野は……。(16頁・★2個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021613

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「皮膚と心」 太宰治

自らの容姿を卑下しがちな「私」だったが、肌のきれいさには自信があった。ところが糠で擦りすぎたせいか、左の乳房の下から始まって瞬く間に吹出物が全身を覆ってしまう。心配する夫は心優しいが、劣等感が強く歯がゆいほど気が弱い。一見しがない図案化だが、実は有名な化粧品の図案を手がけていたりもする。日に日に醜くなっていく肌におののき、ついに夫の勧めで皮膚科の病院に行くが……肌と連動する女性の心理の綾を見事に描いた名篇。(36頁・★4.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021620

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「きりぎりす」 太宰治

十九の春に周囲の反対を押し切って一緒になった夫は、傲岸で世間の評判も悪く、売れない絵ばかりを描いている画家だが、その絵に身体が震えるほど感動した「私」は、貧乏になればなるほど張り合いのある生活を送っていた。ところがある時から絵が評価されるようになり、日に日に偉くなっていくと、夫は身なりから言動まで変わってしまう。結婚五年で別れを決意するまでの妻の心境を、芸術と俗世間の関係に呼応させて描く。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021637

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「千代女」 太宰治

十二歳のとき叔父さんのすすめで綴り方を「青い鳥」に投稿した「私」は、思いがけず一等に当選。続いてまた投稿したら、それは誌面を大きく飾り、高名な選者から長い感想文まで貰うまでに至った。ところがその時から私の人生は変わってしまった。教室で異常に誉めたたえる先生。急によそよそしくなった友達。小学校を卒業して楽になったが、それから……文章を書いて評価されることの脆さと危うさを少女の身に託して描く。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021644

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「恥」 太宰治

「ひどい恥をかきました。顔から火が出る、などの形容はなまぬるい。草原をころげ廻って、わあっと叫びたい、と言っても未だ足りない」……小説に描かれた人物と作者本人を完全に同一視して、手紙を送っただけでなく、家にまで訪ねていった二十三歳の女性。その経緯を友だちに告白する語り口を借りて、作家と読者の関係、また登場人物とモデルの関係をあぶり出して、その裏に作家としての自らを韜晦する、たくらみに満ちた短篇。(20頁・★2.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021651

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「十二月八日」 太宰治

太平洋戦争が始まった日——この日のことを百年後の紀元二千七百年後にまで正確に残そうと決意して作家の妻が一人称で語る。ラジオから開戦のニュースを耳にして「人間が変わってしまった」私。米国人に向けられた異常な敵愾心と昂揚感に包まれた妻をよそに、作家である夫はへんにトンチンカンな愛国心を披瀝する。そのズレをユーモラスに描き、言論統制下にあって開戦の日の庶民の日常の活写に作家の最大限の企みを込めた戦争文学。(20頁・★2.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021668

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「待つ」 太宰治

「雀線のその小さい駅に、私は毎日、人をお迎えにまいります。誰とも、わからぬ人を迎えに」……本来は人がきらいで誰にも会わずに家で母親と二人きりで黙って縫物をしていたい質だった「私」だが、大戦争(太平洋戦争)が始まってから、何だか不安になり、今までの生活にすっかり自信を失ってしまった。かといってどこに行くあてもなく、毎日駅に座っている私は、誰を、何を待っているのか? 短い紙幅に戦時下の日本人の実相を込め、掲載拒否にあった掌編。(8頁・★1個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021675

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「ヴィヨンの妻(上)」 太宰治

四国の華族の勘当息子でもある詩人の大谷は、小金井のボロ家に妻と四つになる息子と住んでいるが、妻子を顧みず放蕩を繰り返している。年の瀬も迫ったある深夜、泥酔して戻った大谷を追いかけ中野の飲み屋の夫婦が店の金を盗まれたと乗り込んできた。刃物を持ち出して巧みに逃げる夫をよそに、何とかすると場をとりもった妻は、翌日、策もなく中野の飲み屋に行き働くようになるが……デカダンスの極みを描いた傑作。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021682

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「ヴィヨンの妻(下)」 太宰治

四国の華族の勘当息子でもある詩人の大谷は、小金井のボロ家に妻と四つになる息子と住んでいるが、妻子を顧みず放蕩を繰り返している。年の瀬も迫ったある深夜、泥酔して戻った大谷を追いかけ中野の飲み屋の夫婦が店の金を盗まれたと乗り込んできた。刃物を持ち出して巧みに逃げる夫をよそに、何とかすると場をとりもった妻は、翌日、策もなく中野の飲み屋に行き働くようになるが……デカダンスの極みを描いた傑作。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021880

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「刺青」 谷崎潤一郎

それはまだ人々が「愚か」という貴い徳を持っていた時代……光輝ある美女の肌に己れの魂を掘り込むことを宿願とした彫師・清吉は、深川の料亭前で駕籠の簾からこぼれる白い足を見て激しい憧れを抱く。一年と経たないうちに偶々その足の持ち主である娘に出会った清吉は、彼女を麻酔で眠らせて、その清浄な肌を自分の恋で彩るべく、巨大な女郎蜘蛛の絵を掘っていった──後年の谷崎作品に共通するモチーフが見事にあらわれた処女作。(16頁・★2個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020265

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「少女病」 田山花袋

杉田古城、三十七歳。かつては少女小説を書きその名を揚げたが、今はしがない編集者である。彼の趣味は少女観察。通勤電車で出会う少女たちの肉体を観察し、髪の匂いを感じ、家庭での姿さえ妄想することが彼の愉楽である。彼女らを抱けば、自らの濁った血が新しくなるとも思う。ある帰りの電車で、杉田はもう一度逢いたいと思っていた令嬢に邂逅する。彼女の美しい姿に見とれる刹那、彼は摑まっていた真鍮の棒を離してしまう——。(32頁・★4個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020982

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「団栗」 寺田寅彦

年若くして結婚した妻、夏子が肺結核で喀血し、亡くなって三年後に「ホトトギス」に初めて「寅彦」の署名で発表された文章。「私はこれは随筆というより小説だと思っている」と安岡章太郎氏は記していますが(岩波書店『寺田寅彦全集』第一巻解説)、「もう何年前になるか思い出せぬが日は覚えている」という書き出しで始まるこの文章は、自らの痛切な体験を語って詩情と運命への深い思いが同居する、無類に美しいものとなっています。(12頁・★1.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020128

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「団栗」
田畑書店公式通販サイト 「団栗」 寺田寅彦


「比較言語学における統計的研究法の可能性について」 寺田寅彦

子供時代の言語に対する関心から書き起こし、言語間の音韻の類似例をあげながら、その伝播の現象を統計学的に考察する。言語間の距離を語彙対応の確率で計算する方法を、科学者としての寺田の本領である分子の拡散現象の数式にまで落とし込んで提示。二十世紀半ばまでは揶揄の対象となっていた「寺田物理学」が、今日のごときAI時代にあっては最も先端的な発想をもっていたことを証明するエッセイ。(40頁・★5個)

本体価格:300円  [JANコード]4582628021606

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「名作文学焼芋登場大全」 おいもとほん talkingbook・選

日本が近代化することで新たに生まれたテーマを、名作文学の多くは重層的に内包しています。「都市」「恋愛」「階層」「貧困」……、特に「幸福」はどのテーマとも通底するものです。「幸福」を希求する多くの庶民の傍らに、名作文学はあるものを置きました。それが焼芋です。温かさと味と、向けられた面差しと、名作文学に登場する焼芋からはどれも、ささやかながらかけがえのない「幸福」を感じることができます。(44頁・★5.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021309

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「町の踊り場」 徳田秋声

1933年3月「経済往来」掲載。前年8月に金沢にいる姉が死去し、その葬儀のために帰省した体験を描いたものです。本作が川端康成や室生犀星に高く評価されたことで、秋聲晩年の復活へと繋がりました。姉の家を抜けだして鮎の魚田を求めたり、裏町のダンスホールに立ち寄ったりする奔放な語り手の行動から、満洲事変後の戦争に向かってゆく時代の世相や、古い文化と新しい文化が交錯する金沢の街が鮮やかに浮かび上がる秋聲珠玉の短篇。(24頁・★3個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020135

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「町の踊り場」
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「私」徳田秋声

日露戦争下のある晩、日本軍が遼陽を攻め落としたことを告げる号外が街を駆け抜けた。「お国の勝利」の喜びは人々を賑やかに満たしていく。ただ一人、私だけを残し……。戦勝に沸く華やかな国民の姿と、その裏に確かに存在した無数の犠牲者の姿が、名もなき「私」の眼を通して密やかに浮かび上がる。飾らない現実を切り取ることで人生が鮮やかに活写される、秋声文学の魅力を今に伝える掌篇。(8頁・★1個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022276


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「痛み」徳田秋声

職業婦人である松枝は、派手好きで情の薄い最初の結婚相手と別れ、二度目の夫と新生活を送っている。しかし再婚した夫は嫉妬深く、執着心が強いうえに精神も非常に不安定で、松枝はたびたび酷い暴力をふるわれていた。理不尽な暴力から逃れるために練った計画により、夫の態度は改善へと向かうが、おとなしくなった夫に松枝は次第に物足りなさを感じはじめる……。倒錯的でいびつな夫婦の関係性を描いた秋声異色の短篇。(20頁・★2.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022283


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「感傷的の事」徳田秋声

家郷から離れて暮らしていた「私」は、十年振りに母の元を訪れる決心をする。それほどまでに時が空いてしまったのに大した理由はなく、ただ母の甘さへの反感が足を遠ざけさせていたのであった。郷里への汽車に乗った「私」は、その道すがら過去を振り返り、いかに自分が母を顧みて来なかったかに気付いてゆき、そして母と再会を果たすが……。感情の疎隔と時の流れの残酷さ、過去への悔恨が痛みのように刻み付けられた自伝的一篇。(24頁・★3個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022290


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「余震の一夜」徳田秋声

関東を襲った未曾有の地震の際に「私」は家族のそばにいなかったことを妻に恨めしく思われていた。ある夜、強い余震を感じて戸外へ出ると、いまにも倒れそうな不安定なわが家が目に入る。しかし家を離れる決断もできず、安住を得られない一家の頭をよぎるのは、災害を生き延びた老婆たちのたくましい姿であった。作者自身の体験を元にして、過ぎ去ってもなお人心を揺るがし続ける関東大震災直後の一夜を切り取った短篇。(24頁・★3個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022306


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「風呂桶」徳田秋声

年老いてゆく自身を憂い、四季折々の自然や成長めざましい子どもたちにさえ、自身の残り少ない寿命を連想してしまう津島。古くなった風呂桶を買い換えるに際して、何でもないことから生じた妻との喧嘩の中で、不意に芽生えた暴力性に亡き父親の面影を見る。人生の下り坂にさしかかった一人の男が直面するある日の出来事を通して、いずれ誰にでも訪れる「老い」という問題が恬淡と描かれた秋声「心境小説」の代表的短篇。(12頁・★1.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022313


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「和解」徳田秋声

O—先生を崇拝していたK―と、尊敬しながらも対等に接し続けた「私」。先生の死後、二人は価値観の相違から決別してしまう。それから三十年、K―の弟が「私」のアパートを訪れたことから二人の運命は再び交差し始める。最初は顔を合わせることさえ躊躇していた「私」だったが、やがて共に先生の話をするまでにK―との関係が修繕していく。果たして二人は和解することが出来たのか。兄弟子である泉鏡花との確執を経て書かれた秋声の名作短篇。(36頁・★5.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022320


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「勲章」徳田秋声

分相応な結婚を望んで惣一に嫁いだかな子だったが、幸福なはずの新生活は想像とは全く違っていた。吝嗇な義父に迫られたことで同居に耐えられなくなった彼女は、独立して夫婦二人で暮らすことを決めるも、博打に明け暮れる夫に毎日の苦労は絶えず、周囲からは離婚をすすめられるが……。戦時下の東京を舞台に庶民の夫婦のなし崩しの生を描いた秋声後期の好短篇。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022337


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「喰われた芸術」徳田秋声

「六月の或日、ふと思い立って、彼は久しぶりでK—先生の未亡人を郊外のその家に訪ねて見た。」——尾崎紅葉没後、秋声が困窮する紅葉遺族を見かねて菊池寛と共に中央公論社から『尾崎紅葉全集』を出版した経緯を描いた生涯最後の短篇。同門たちとの別れやその遺族との交流を残された者の視点で描き出し、紅葉門の兄弟子である泉鏡花との「K—先生の芸術」をかけた因縁話とも読める。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022344


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「蝦蟇」 豊島与志雄

五月頃から家の縁先に一匹の蝦蟇が出た。悠然と佇む大きな力に満ちている蝦蟇を、私と妻は時間を忘れて見つめていた。ある晩、蝦蟇を盥の中に入れて上から石を乗せて置いたが、翌朝蝦蟇は盥の中にいなかった。それきり蝦蟇は私の家の縁先に姿を見せなくなった——。それでも私はそれで良いと思う。ふと、死というものを考えるが、すべてがよく調和していると思う。生きた痕跡がなくなることが死と言えるのか。生死の観念を問い続ける掌編。(8頁・★1個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020999

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