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季刊 アンソロジスト | ||
作品リフィル 文庫判・スクラム製本(綴じなし)

「雪後」 梶井基次郎
大学に残るべきか、それとも就職するべきか。迷っている行一に自らの研究所に席を設け、迎え入れてくれたのは恩師でした。同時に親や親族の反対を押し切って始まった東京郊外での新婚生活。妻の信子の天性の明るさは、つましく単調な生活を飾ります。やがて身籠った信子のために、東京の中心に家を探し始める行一。時代と世相に横たわる漠とした不安と、薄氷を踏むようなささやかな幸せ。梶井文学に珍しい、希望を感じさせる客観小説。(20頁・★2.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020043
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「桜の樹の下には」 梶井基次郎
「桜の樹の下には屍体が埋まっている!/これは信じていいことなんだよ。」肺結核の湯治に訪れた湯河原で満開の桜を見た梶井。迫り来る〝死〟に直面しながら、生と死の対置を最高の〝美〟に止揚するレトリックの妙は、自死の予感を秘めてあやしく輝く。短い紙幅に梶井基次郎の文学のすべてが! 桜を見るたびにきっと思い出さざるを得ないほどの名篇。(8頁・★1個)
330円 (税込) [JAN]4582628020692
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「檸檬」 梶井基次郎
「えたいの知れない不吉な塊」を抱えて京都の町を徘徊し、「みすぼらしくて美しいもの」に強くひきつけられる。あるいは花火。あるいはびいどろのおはじきを口に入れたときの幽かな涼しい味。肺尖カタルに冒された熱っぽい身体を持て余しながら、寺町の果物店で見つけた檸檬。その檸檬を〝爆弾〟として丸善に置いて出てくる結末まで、鋭敏な神経と美意識がもたらす不安と昂揚を見事に作品に昇華させた永遠の名篇。(16頁・★2個)
330円 (税込) [JAN]4582628020739

「愛撫」 梶井基次郎
猫の耳を「切符切り」でパチンとやってみたら、という空想から始まり、「猫の爪をみんな切ってしまったらいったい猫はどうなるだろう?」と問いかけるかと思えば、一転、夢に出てきた女性が猫の手を切り離して化粧道具に作り替え、その肉球で頬を撫でているというやや残酷でブラックな話に……ユーモラスな語り口で、愛猫家なら一度は抱いたことがあるだろう感覚を時代を超えて伝える散文の妙味。不思議に心に残る一篇。(12頁・★1.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020739

「ある心の風景」 梶井基次郎
深夜の静けさのなか、眠れずに窓から夜の町をじっと見ている喬は、暗い考えに苦しめられていた。女から病を得ており、そのことが彼を悪い想念へと導いた。あの不幸な夜、博多から来たという女。屈託した気持を抱えたまま上った火の見。そして夜更けまで深夜の町を歩き回った。新京極のあたり、腰に下げた朝鮮の小さな鈴の音にわずかに希望を見出すが……複雑な心象風景を描いて創作の転機となった重要な作品。(20頁・★2.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020739

サンブックス浜田山・選「浜田山の話 他」 片山廣子
歌人、翻訳家として名高い片山廣子が晩年を過ごした地、浜田山。終戦間際から十三年という短い歳月であったが、この地において歌人として活動(第二歌集『野に住みて』発刊)するとともに、エッセイストとして(『燈火節』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、また翻訳家として多くの作品を残した。そこには貧苦に苦しめられながらも気高く充実した日々があった。この選集には多くの文業の中から特に浜田山について記したものを選び収録した。(44頁・★5.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628021316
田畑書店公式通販サイト サンブックス浜田山・選「浜田山の話 他」 片山廣子

「ばらの花五つ」 片山廣子
馬込の丘の散歩道で見つけた新ばら園。疑獄事件で退官した地方の役人が、世間から隠れて始めたらしかった。それから戦争を経て、みんながどん底に堕ち、大ていの人は生活のために何かしら仕事をしなければ生きてゆかれなくなった。そんなとき思い出されるのはあのばら園のご主人。「ばらの花をきり、つぼみを一つきり二つきり、小さい利益と小さい損失を積みかさね、積みかさね、自分の新しい仕事を育ててゆかねばと、この頃しみじみ思うようになった」……疲れた心に沁みるエッセイ。(8頁・★1個)
本体価格:300円 [JANコード]4582628021552

「枇杷の少女」 加能作次郎
私と同年で幼なじみの絹子の家には大きな枇杷の木があり、幼い二人はよく遊んでいました。美しく成長する絹子に恋心を抱く私。絹子が私にそっとくれた黄色に熟したたくさんの枇杷の実に、私は絹子の思いを知るでした。しかし、私は故郷を離れなくてはいけなかった。各所を放浪する私は枇杷の実を見る度に絹子を思い出すのでした。その後、絹子は結婚して出産し、夫と死別したことを知ります。三十年前のこと、今も絹子の家には枇杷の木があるのでしょうか。(24頁・★3個)
330円 (税込) [JAN]4582628020050

「碧梧桐百句(片上長閑・撰)」 河東碧梧桐
河東碧梧桐とは誰か。百年の間、この問に充分な答えが出たとは言い難い。俳人碧梧桐、「俳句」の破壊者碧梧桐、 敗北者碧梧桐、革新者碧梧桐。どれも碧梧桐である。彼の人生と俳句は、捉えどころのないものとして、半ば腫れ物に触るかのような扱いを受けてきた。そこに一貫したものは何であったか。遺された句から、我々の目の前に、 動き続ける影のように生き生きとした碧梧桐の姿が蘇る。(40頁・★5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022156
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「海の中にて」 菊池寛
北越のある町で小学校の教師をしていた敬吉はその町の芸者おくみと恋に落ちたが、ある晩おくみを宿直室に入れたかどで職を解かれてしまう。田舎の狭い世間では許すべからざる罪である。逃げるように上京する敬吉を見送りに来たおくみは、衝動的に電車に乗り込み、敬吉もそんなおくみを帰すわけにはいかなかった。東京での生活苦は予想をはるかに上回り、金銭的にも精神的にも追い詰められた二人は……心中のリアルな描写と極限状況での愛とエゴの葛藤を残酷なまでに読むものに突きつける驚愕の短篇。(24頁・★3個)
330円 (税込) [JAN]4582628020739
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「身投げ救助業」 菊池寛
「清水の舞台から飛び降りる」しかないほど自殺スポットが少ない京都でも、人は何らかの手立てで自殺をした。さらに琵琶湖からの疏水を整えてからは、そこが格好の場所となり、京都の自殺者はさらに増えた。中でも最もよき死に場所となっている木造の橋のわずか下流に一軒の小屋を構えた老婆がいた。自殺者にの悲鳴が聞こえるとすわと物干し竿をかついで飛び出し、水面にそれを差し出す、いわば身投げ救助業を営んでいた老婆だったが、皮肉にも自らが身を投げざるを得ない運命に……。(16頁・★2個)
330円 (税込) [JAN]4582628020746

「入れ札」 菊池寛
上州岩鼻の代官を斬り殺し、関所を破って信州に逃げた国定忠治は、彼に付き従って生きのびた十一人の乾児(こぶん)を前に逡巡していた。果たしてこの先も彼ら全員を引き回していいものか。心のうちお目当ての三人はあったが、等しく忠誠を誓った他の者をうち捨てるわけにもいかない。そんな折、乾児のなかから「入れ札」という妙案が。皆が忠治の気持を忖度して投票する中、たった一人、最古参の九郎助の内心によこしまな考えが芽生え……集団と個人の間に働く人情の機微を巧みに描いた名篇。(24頁・★3個)
330円 (税込) [JAN]4582628020753

岸波龍・選 私家版詩集アンソロジー
近年、文学フリマや独立書店で個人が制作する自主制作本が人気だが、そのなかでも詩人たちによる優れた私家版詩集は数多く作られてきた。いまこそ日の目を見るべきそれらの私家版詩集から、詩集専門店である「機械書房」店主が選りすぐり、懇切丁寧な解説をつけて紹介する、詩人五名による珠玉の詩のアンソロジー。
【収録詩人】 海老名絢 / 森田直 / 四塚麻衣 / 故永しほる / ゆずりはすみれ
【解説】 岸波龍(機械書房)
330円 (税込) [JAN]4582628023655

岸波龍・選 私家版詩集アンソロジー [一冊フォルダーセット]
機械書房謹製の作品リフィル『私家版詩集アンソロジー』と「一冊フォルダー」をセットにしました。機械書房で販売していた私家版詩集を中心に、詩人ごとに各二編と編者による解説を収録。
【収録詩人】 海老名絢 / 森田直 / 四塚麻衣 / 故永しほる / ゆずりはすみれ
【解説】 岸波龍(機械書房)
2,200円 (税込) [JAN]4582628023662
(付属品:使い方マニュアル)
機械書房通販サイト 岸波龍・選 私家版詩集アンソロジー[一冊フォルダーセット]
amazon 岸波龍・選 私家版詩集アンソロジー

「山椒魚」北大路魯山人
「ひとつ変ったたべものの話をしよう。」そう言って彼が語り出したのは、山椒魚という生き物の、なんとも不思議で魅力的な料理の話。滅多に人の口に入らない珍しいそれは、美食家の彼が言うに非常に美味いらしい。水洗いをして塩を揉み込み、ブツ切りにして鍋でコトコトと煮る。家中にプーンと匂う山椒の香りは、きっとあなたを「美食」の世界へと誘うだろう。ただし私達が食べることはきっと叶わないが。
(12頁・★1.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628023150

「蝦蟇(ひきがえる)を食べた話」北大路魯山人
上海の料理屋で貼り出されていた「大田鶏」の正体はなんと蛙料理であった。いざ食ってみると非常に美味い。いつか日本でも探して食べてみようと考えていた矢先、ある陶工から「瀬戸あたりでは蝦蟇などは殆ど常食のように食っている」という話を聞き、冬の池に足を踏み入れた。手に入れた冬眠中のぐにゃぐにゃとした蝦蟇の皮を剝いで、刻んで、煮て、そうしてできた料理の味は──。
(12頁・★1.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628023167

喜谷六花「六花百句」
「默つてゐる人」喜谷六花。碧門を代表する俳詩人の一人として活動し、静かな存在感を放ち続けた。碧梧桐が『海紅』を去り、碧童や一碧樓ら句友が次々に歿したあとも、そして俳句が有季定型の時代を迎えたのちも、その制作は、短詩の追求は淡々と続けられた。六花は何を志し、何を求めて句を作り続けたか。孤塁を守るようにして、彼はいかなる詩世界を作ろうとしていたのであろうか。定型時代から短詩時代まで、百作を収めた。
〈★=4.5〉
330円 (税込) [JAN]4582628023600

《川柳アンソロジー みずうみ》
「雫する楽器」北村幸子
滋賀に移り住み三十五年。家から琵琶湖は見えない。遥かな山並みが実は対岸なのだと意識すると、今だに不思議な気持ちになる。さらに山奥には母の故郷が、今はダム湖の底に眠っている。以前日照りで干上がった湖底から校舎や石橋が現れた事があった。遺跡のように時が止まった村のニュース映像を、母は食い入るように見ていた。あの時どんな会話をしたのか、もう忘れてしまった。近くて遠いみずうみ。(著者より)(12頁・★1.5個)
330円 (税込) [JAN]

「コブタンネ」 金史良
北朝鮮生まれで東京帝国大学卒、日本語ですぐれた小説を書き芥川賞候補にももなった著者が、自らの子ども時代を題材に描いた一景。「私」の家の貸し部屋に住み、小さい時に遊んだ少し年上の女の子、コブタンネに抱いた甘酸っぱい思いと思春期にまで至らぬ少年のこそばゆいような気持ち。突然、引越して行ったコブタンネと、十四、五年経って思わぬ再会を果たす。時の経過と人懐かしさを一筆描きのような見事な筆致で描く佳品。(12頁・★1.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020760

「入梅」 久坂葉子
島尾敏雄の紹介で同人誌「VIKING」に参加し、久坂葉子のペンネームを用いて初めて発表した短篇。一児を抱えた戦争未亡人が若いころ習いおぼえた「絵ざらさ」で生計を立てていこうとしますが、目下の心配事はその家に下男として仕えてきた老人と、親子ほど年の離れた使用人の若い娘との情事でした……夫を早くに亡くした女の寂しさ、若い女の奔放さと移り気に振り回される年老いた男の愚かさなど、十八歳とは思えぬ人生への洞察を秘めた一篇。(24頁・★3個)
330円 (税込) [JAN]4582628020067

「画の悲み」 国木田独歩
全校一腕白で勉強もできる自分が、大好きな画を描くことに関しては、しのぎを削る競争者がいた。それが志村という少年だった。彼は温厚で人気もあり、一方、傲慢で教師からも生徒からも疎まれている自分にとってはまさに「目の上のたんこぶ」だった。その志村と、ふとしたことから大の仲良しになる。お互いを強く結びつけたのは、「画」だった。そして幾年かが経ち……大人の胸まで熱くさせる子どもの世界を巧みに描く独歩の真骨頂!(16頁・★2個)
330円 (税込) [JAN]4582628020777

「初恋」 国木田独歩
「僕の十四の時であった。僕の村に大沢先生という老人が住んでいたと仮定したまえ。」という口上から始まる掌篇。餓鬼大将だった「僕」が村で評判の頑固な漢学者をへこませてやろうと歯向かい、逆に気に入られて下男と十二歳になる孫娘と三人で暮らす家に入り浸るようになる、というシンプルな物語ながら、最後まで一気に読ませる語り口のみごとさ、また読後にそこはかとない人恋しさを残す点において、無上の一篇です。(8頁・★1個)
330円 (税込) [JAN]4582628020074

「父の死」 久米正雄
長野県は上田。とある女学校が火事で燃えた。六角塔の階上に掲げてあった御真影もすっかり焼けてしまった。その責任を深く感じた同校の校長を務める父親は、書斎に籠ったまま思い詰め、とうとう腹に刃を立て、頚動脈を切って自ら果てた。その武士の志を継いだ潔さを褒め称える町中の人々、違和を憶えながら不思議な幸福にひたる私。そして……少年の頃の著者の切実な体験に根ざした名篇。(32頁・★4個)
330円 (税込) [JAN]4582628020234

「高篤三 五十句」高篤三
1940年に治安維持法違反によって検挙されるまでの十年間、高浜虚子主宰の『ホトトギス』と袂を分かち、抒情性や社会性を湛えた俳句をつくった人々がいた。この新興俳句運動は連作俳句、無季俳句、戦火想望俳句に見るべき成果を残したが、本書はモダニズム詩とも連続する詩情に満ちた俳句をつくりながら、東京大空襲により早世した高篤三の句を五十句選び、発表年順に並べたものである。
(12頁・★1.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628023044

《短歌アンソロジーあこがれ》
「卵焼きかわいそう」 小島なお
私にとってあこがれの対象は案外みじかなところにある。年末の電車内で聞こえた会話の「明太子、送っておいたから」という台詞や、壊れた掃除機を解体して部品ひとつから組み立てた義弟や、風呂場の電球カバーが突然勢よく外れたことを心霊現象として語る友人。遠いところにあるものは、遠すぎて感想が浮かばない。それよりも何でもない感じでそのへんに転がっているものの方が、じつは何でもなくて、かなわないな、と思う。(著者より)(20頁・★2.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628021996

小杉余子「余子百句」
小杉余子という俳人がいた。松根東洋城に師事、『澁柿』の有力俳人であったが、これを離れたのちは俳壇と没交渉の日々を送り、亡くなるまで銚子の地で自適に句作した。一銀行員として生計を立て、俳句によって名声を求めなかった余子の句は、一見して平明ながら、沁み込むような面白味を読み手に与える。世に暮らしながら世を見詰め、俗を超える、俳句のひとつの在り方が、余子の句から解き放たれる。季別に百句を撰した。
〈★=4.5〉
330円 (税込) [JAN]4582628023631

「疑問符で終る話」 後藤明生
「とにかく被害者にだけはならないことだ。(中略)そのためにはあのテレビ屋を、絶対に玄関で食い止めるべきだ」。時代は高度成長期。各家庭が白黒テレビからカラーテレビへと切り替えつつある頃。鉄筋コンクリート五階建ての団地の二階に住む男が、テレビの修理屋を相手に演ずるひとり相撲の様子を独特のユーモアを交えた語り口で伝える。特にテンポのいい夫婦のやりとりが、上質な漫才を聴いているようで楽しい。(48頁・★6個)
330円 (税込) [JAN]4582628020784
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「道」 後藤明生
著者がこよなく愛した軽井沢町追分の別荘で過ごす夏。仕事に集中するため、作家は家族に先がけてひとり別荘にやってきた。するとなぜか、家にいたる道には切り倒された大きな欅の木が横たわっている。ほとんど毎日訪ねてくる近所に住む花豆老人に、欅の木が切り倒されたわけを聞こうとするが……「歯茎を食べるような口の動かし方」をする地元の老人とのちぐはぐなやりとりを、軽井沢の風景のなかに軽妙な筆致で描く。(32頁・★4個)
330円 (税込) [JAN]4582628020791
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「夢かたり」 後藤明生
夏目漱石の「夢十夜」について語るエッセイ風の叙述から、「漱石は『夢十夜』を四十一歳で書いた。わたしはいま四十二歳である。それがまことに残念でならない」という記述を経て、気がつくと読者は著者が少年時代を過ごした北朝鮮の永興という町の情景へと誘われる。遊び友だち、学校の様子、駄菓子屋のおばあさん、朝鮮そば屋のつゆが煮える匂い……後藤明生独特の「思考テレポーテーション」が存分に味わえる名篇。(28頁・★3.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020807
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「宝船」 後藤明生
枕の下に敷いて寝ると良い初夢が見られるという〝宝船〟の話から、五年前に移り住んだマンションのゴミの分別について、貰ってきた飼い猫は執筆の合間合間に作家の関心を引きつける。そうして迎えた大晦日。宝船の封筒を開けた作家はワインを飲みながらテレビで映画を見続ける。そして明け方の五時近く、ふとんに入ってみたが……脱線に次ぐ脱線、どこに連れていかれるのやら、語りの快楽に酔いながら、読者は思わぬ着地点へ!(36頁・★4.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020814
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「しんとく問答(上)」 後藤明生
近畿大学文学部に教授として招聘され大阪に移住した著者が、地図を片手に大阪の街を探索する。目的地は八尾市高安の山畑(やまたけ)村。そこには謡曲の『弱法師』や説教節『しんとく丸』に描かれた伝承上の人物、俊徳丸が没したとされる鏡塚がある。地図とガイドブックを頼りに迷いながら鏡塚に向かう様や、そこでの出来事が、あみだくじのごとく語られる。大阪という未知の土地への尽きせぬ興味、探索する楽しみに満ちた一篇。(40頁・★5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020821
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「しんとく問答(下)」 後藤明生
近畿大学文学部に教授として招聘され大阪に移住した著者が、地図を片手に大阪の街を探索する。目的地は八尾市高安の山畑(やまたけ)村。そこには謡曲の『弱法師』や説教節『しんとく丸』に描かれた伝承上の人物、俊徳丸が没したとされる鏡塚がある。地図とガイドブックを頼りに迷いながら鏡塚に向かう様や、そこでの出来事が、あみだくじのごとく語られる。大阪という未知の土地への尽きせぬ興味、探索する楽しみに満ちた一篇。(20頁・★2.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020838
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「落穂拾い」 小山清
自らを作家と認ずるがいまだ単行本一冊も出すに至らぬ、どこか寂しげな中年作家が、自炊しながらひとり住んでいる街、武蔵野市の片隅で出会う人びと。終戦後出稼ぎに行った夕張炭鉱でともに働いたF君の思い出。特に駅の近くで健気にひとりで古本屋を営む娘との淡くも温かな交流が心に残る。戦後七年が経ち、自らを励ましながら自分の道を歩み始める作家の、願望をも含めたさりげない筆致がえも言われぬ味わいを醸す短篇小説。(24頁・★3個)
330円 (税込) [JAN]4582628020845
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「老人と鳩」 小山清
ある日突然倒れ、失語症に陥った老人は、野原のはずれにある部屋に引っ越した。ひとりだった。誰も音沙汰がなかった。近所の子供が飼っている鳩を見て可愛いと思った老人は、小刀で木彫の鳩を作った。部屋には黒猫がやってきて住みついた。やがて徒歩十分ほどのところに「ハト」という名のコーヒー屋ができた。そこの十七、八くらいの娘と老人の淡いまじわり……訥々と繰り出すことばが不思議に澄明な世界を生み出す私小説の佳品。(16頁・★2個)
330円 (税込) [JAN]4582628020852