新商品・季刊 アンソロジストブックジャケットスターターキット
作品リフィル あ行作品リフィルセット作品リフィル 詩歌
作品リフィル か行芥川龍之介太田靖久
作品リフィル さ行織田作之助徳田秋声
作品リフィル た行井伏鱒二
作品リフィル な行後藤明生
作品リフィル は行坂口安吾
作品リフィル ま行太宰治
作品リフィル や行宮沢賢治
作品リフィル ら行山本周五郎
作品リフィル わ行吉田篤弘
作品リフィル 文庫判・スクラム製本(綴じなし)

「猫町」 萩原朔太郎

北越地方のKという温泉に滞留していた「私」。避暑客も離れすっかり寂しくなった秋のある日、近くのU町まで徒歩で出かけた私は、途中の山道で迷ってしまった。慌てた私はとにかく人里へと山道を下り、麓の町に辿り着いたのだが、そこは果たして……「猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫。どこを見ても猫ばかりだ」詩人のイマジネーションが創出した緊密で繊細な世界を、彫琢した文体で描いた寓話的でもあり哲学的でもある異色短篇。(24頁・★3個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021064

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《川柳アンソロジー みずうみ》
「襖はずして」芳賀博子

少しまとまった休みが取れたら行こう行きたいと思いながらずっと先送りしてきたみずうみの畔へ、ようやく訪れることがかなった。宿へ着くなり遅いじゃないかと誰かが笑う。界隈を歩けば樹も花も鳥も虫も新鮮な驚きをもって懐かしく慕わしい。テーマ「みずうみ」が連れて来てくれたこの地は、私がもう忘れかけていた記憶をフラッシュバックさせながら、今へ息を吹き込んでゆく。そういえばあなたともご一緒したことがあったでしょうか。(著者より)(12頁・★1.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022214

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「笑えば翼ごと動く」 初谷むい

《短歌アンソロジーあこがれ》
あなたはある日、天使になった。なんてことないけれど、「ぼく」にとって大切だった「あなた」とのゆるくしあわせな日々は、「あなた」の天使化によってあっけなく終わる。「あなた」が遠くに行ってしまう予感のなかで残される「ぼく」はなにを思うのか。だれかを愛すること、そして失うことについて短歌という短い詩の中で考え二〇首連作です。「ゆるい約束を重ねてゆるい約束をほどいて天使は溶けるみたいに笑う」。(著者より)(12頁・★1.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022009

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「幸福の彼方」 林芙美子

戦争で片眼を失って戻ってきた信一と見合い結婚をした絹子。ふたりはともに御前崎に生まれ、名古屋に暮らしていました。千種駅の近くに家を借りて新世帯をもったふたりは、しばし御前崎に戻って信一の実家を訪ねます。御前崎の白い波を見ながら信一はある告白をします。実は自分にはひとり、子どもがいる、と……庶民の飾らない暮らしを写し、その中にある人情や男女の心理の機微を巧みな筆致で描き出して、爽やかな読後感を与える一篇。(28頁・★3.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020166

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「幸福の彼方」
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「美しい犬」 林芙美子

野尻湖畔の別荘地。飼い犬としてモオリスさんに可愛がられたペットだったが、戦争最中にモオリスさんがアメリカに帰ってしまってからは運命が変わった。モオリスさんが恋しいペットは別荘のポーチで暮らしていたが、食べ物もなく湖畔の野良犬となって痩せさらばえてしまった。やがて冬が来て、野尻湖のあたりは深い雪に閉ざされて、行き場のないペットは思い出がいっぱい詰まったモオリスさんの部屋で息絶えたのだが……感動の一篇。(12頁・★1.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021033

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「晩菊」 林芙美子

昔の男から久しぶりに訪問の電話を受けたきんは、そそくさと身支度にかかる。五十六という年齢も何のその。女の歳なんか長年の修業でどうにでもなると考えているきんは、五つの歳に秋田から東京に出て金満家の養女となったが、出入りの業者に犯されたのを機に家を出て十九で芸者となった。以来、男と重ねた恋は数知れず、いまはその思い出をよすがに独居している。その優雅な暮らしぶりを見て、金の無心をする男に、きんは興ざめを覚えるのだった……。(36頁・★4個)

本体価格:300円  [JANコード]4582628021514

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「淫売婦」 葉山嘉樹

大正期の横浜・南京街。欧州航路から下船した船乗の「私」に歩み寄る蛞蝓のような男たち。二分銭で「若え者がするだけの楽しみ」を買わないか、と連れていかれた、悪臭と闇に包まれたその奇妙な室の中には、汚穢にまみれた全裸の若い女が横たわっていた。「こいつらの手から彼女を救い出さねば」と義憤に駆られた私だったが、そこには思いもよらぬ真実が……驚愕のストーリーテリングで読者を誘うプロレタリア文学の歴史的名編!(36頁・★4.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021057

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「秋日記」 原民喜

1947年4月「四季」掲載。左翼運動を断念ししばらく退廃的な生活を送っていた民喜でしたが、佐々木基一の姉の永井貞恵と結婚後に充実した創作活動に入ります。本作は1944年にその愛妻を喪った体験を描いた連作の一つで、入院した妻のもとに通う日々が綴られています。語り手の目に映る世界は、作中の表現を借りれば「結晶体」のように繊細でどこまでも澄みきっており、戦争の時代を背景に様々な別れの気配が詩的に凝結されています。(24頁・★3個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020173

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「秋日記」
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「美しき死の岸に」 原民喜

長い間病床生活を続ける妻は、澄みきった世界で呼吸をしているようだ。夫である彼が勤めのために一歩外へ出ると、そこは混濁した虚妄の世界のように思える。澄みきった世界で療養を続ける妻には、死の影が迫り来るとは思えなかった。それでも病態が悪化し大学病院へ入院する妻に、冷え冷えしたものが近づいてくる。苦しむ妻に「死」が訪れたとしても、苦しみの彼方の美しい死、最も美しいものの訪れを、彼は願うばかりであった。(24頁・★3個)

330円 (税込)  [JAN]4582628021040

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「夢と胸筋」東直子

《短歌アンソロジーあこがれ》
ドキュメンタリーの映像を観るのがとても好きです。劇的なものも、極く日常的なものも、どんなものでも興味深いです。こんなところで、こんな人が、こんなことを思って、こんなことをしている。そんな面白さを、短歌連作で群像劇のように構成できたらと思いながら編みました。どこかの、誰かの、ある一瞬。長い時間の果てであり、遠い未来への起点でもあり。生きている偶然と奇跡を思い、浮遊する言葉をただ一つの身体で模索しました。(著者より)(20頁・★2.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022016

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「森のはなし」平井弘

「どこのがれきの隙間にもいへることだが痩せたものならとほれる」「根つからのものとはおもひたくないがまあ振り上げたほうが利き腕」……一九六一年の第一歌集刊行以来、歌集四作と寡作ながら、眼前する世界、我々が生きる社会に実際に起こっている〈何か〉を、〈それ〉とは言わない独特な語り口で描いてきた歌人が、〈そのとき〉の到来を予感させながら、〈いま〉を詠む。平井短歌の特徴である不穏さと批評性の高さを濃密に内包した連作!(20頁・★2.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022405

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「黒百合」平岡直子

《短歌アンソロジーあこがれ》
「あこがれ」というテーマを知らされたときにすこし息を呑むような気持ちになったのは、わたしにとって短歌をつくること自体がその感情と不可分だからだ。そのせいか、今回の制作はかえってわたしのなかにひとりの人間の具体的なフォルムを浮き上がらせた。憧れとは、他人の歌に対する「どうしてこんな歌が存在するんだろう」という驚愕であり、ときに他人に対する「どうしてこんな人間が存在するんだろう」という驚愕なのだと思う。(著者より)(12頁・★1.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628022023

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「辛夷の花」 堀辰雄

「春の奈良へいって、馬酔木の花ざかりを見ようとおもって、途中、木曽路をまわってきたら、おもいがけず吹雪にあいました。……」。東京を発ち、甲斐の山々を目に木曽福島に一泊。翌日、乗った中央西線の汽車の車窓に映る雪に覆われた木曾の風景。雪のまにまに咲く辛夷の花が、「僕」には見えない……。電車で木曾谷を通ったことのある者であれば、まるで目の前に風景が立ち現れるような、堀辰雄のみごとな描写です。初出は「婦人公論」(一九四三年)。(12頁・★1.5個)

330円 (税込)  [JAN]4582628020180

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「辛夷の花」
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