本の缶詰

ブックジャケット

ブックジャケット

1,980円 (税込)

まったく新しい読書体験のはじまり……好きな作家の好きな作品を集めて、あなただけの短篇集をつくってみましょう。別売の「作品リフィル」を、付属の軸棒を使ってこのブックジャケットに綴じます。最大およそ200ページ。作品リフィルには8ページにひとつの★印がついています。合わせて25個までが目安です。さあ、あなたの掌に、豊かに広がる短篇小説の世界を! なお、デザインは名久井直子さんです。

(付属品:ステンレス軸棒15本、貼ってはがせるコンテンツシール2枚、使い方マニュアル)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー ブックジャケット


リフィル

1、「秋」 芥川 龍之介

330円 (税込)

1920年、「中央公論」に掲載され、翌21年、新潮社より刊行の『夜来の花』に収録されたものです。初期から続く、歴史や古典に材をとった芸術至上的かつ耽美的な作品から、現実や日常を対象化した作品に移行していくさきがけとなった短篇です。幼なじみの従兄をめぐる姉と妹の三角関係を微妙な心理描写と雅びな文体で描いた本篇は、いかにも大正期らしい均衡がとれた作品で、芥川作品のなかでも人気が高く、広く長く読み継がれています。(28頁・★3.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「秋」


2、「雪の夜」織田作之助

330円 (税込)

大晦日の夜、別府。番傘を立てて通りの客を待つ易者が、料亭から女たちを侍らせて出てきた、羽振りのよさそうな男とばったり出くわします。それは因縁の男。易者は大阪で印刷業を営む堅実な男でしたが、カフェで会った女に溺れて身を持ち崩してしまいます。熱海から東京、東京から別府へ。病を患った女とともに落ちぶれて流れてきた男の運命は? はかない者たちの愚かな、しかし切実な人生を鮮やかに切り取る名篇です。初出は「文藝」(改造社、一九四一年)。(28頁・★3.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「雪の夜」


3、「雪後」 梶井基次郎

330円 (税込)

大学に残るべきか、それとも就職するべきか。迷っている行一に自らの研究所に席を設け、迎え入れてくれたのは恩師でした。同時に親や親族の反対を押し切って始まった東京郊外での新婚生活。妻の信子の天性の明るさは、つましく単調な生活を飾ります。やがて身籠った信子のために、東京の中心に家を探し始める行一。時代と世相に横たわる漠とした不安と、薄氷を踏むようなささやかな幸せ。梶井文学に珍しい、希望を感じさせる客観小説。(20頁・★2.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「雪後」


4、「枇杷の少女」 加能作次郎

330円 (税込)

私と同年で幼なじみの絹子の家には大きな枇杷の木があり、幼い二人はよく遊んでいました。美しく成長する絹子に恋心を抱く私。絹子が私にそっとくれた黄色に熟したたくさんの枇杷の実に、私は絹子の思いを知るでした。しかし、私は故郷を離れなくてはいけなかった。各所を放浪する私は枇杷の実を見る度に絹子を思い出すのでした。その後、絹子は結婚して出産し、夫と死別したことを知ります。三十年前のこと、今も絹子の家には枇杷の木があるのでしょうか。(24頁・★3個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「枇杷の少女」


5、「入梅」 久坂葉子

330円 (税込)

島尾敏雄の紹介で同人誌「VIKING」に参加し、久坂葉子のペンネームを用いて初めて発表した短篇。一児を抱えた戦争未亡人が若いころ習いおぼえた「絵ざらさ」で生計を立てていこうとしますが、目下の心配事はその家に下男として仕えてきた老人と、親子ほど年の離れた使用人の若い娘との情事でした……夫を早くに亡くした女の寂しさ、若い女の奔放さと移り気に振り回される年老いた男の愚かさなど、十八歳とは思えぬ人生への洞察を秘めた一篇。(24頁・★3個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「入梅」


6、「初恋」 国木田独歩

330円 (税込)

「僕の十四の時であった。僕の村に大沢先生という老人が住んでいたと仮定したまえ。」という口上から始まる掌篇。餓鬼大将だった「僕」が村で評判の頑固な漢学者をへこませてやろうと歯向かい、逆に気に入られて下男と十二歳になる孫娘と三人で暮らす家に入り浸るようになる、というシンプルな物語ながら、最後まで一気に読ませる語り口のみごとさ、また読後にそこはかとない人恋しさを残す点において、無上の一篇です。(8頁・★1個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「初恋」


7、「幸福への道」 素木しづ

330円 (税込)

まばゆい光に溢れた秋の一日。足が不自由で松葉杖をついた「彼女」は、恋人とともに電車に乗って「静かな、空の広い野」をめざします。しかし野の幸福を求める心はまた、夜のかなしみを抱いてもいました。彼女の弱い肉体に征服された心は、すべてが寂寥に、すべてが悲哀に終りはしないか、という不安に慄きがちでした。果たして「無上の光に輝いてる花の広い野」はあるか? 恋がはらむ喜びと不安を象徴性に満ちた文章で鮮やかに描いた名篇。(20頁・★2.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「幸福への道」


8、「星の女」 鈴木三重吉

330円 (税込)

天上から美しい下界を眺めつつ、いつかあそこへ下りてみたいと憧れていた〈星の女〉の三姉妹は、蜘蛛の王様に頼み込み、ある日、蜘蛛の糸をつたって地上へと下り立ちました。ところがいちばん下の美しい妹は、着物をなくしたことから天上に帰れなくなってしまいました。その着物をとってしまった若い猟人と〈星の女〉は結婚したのですが……英語圏で紹介されたインドの説話に材をとりながら、詩的できらびやかなj独自の幻想の中に運命の悲哀を描いた童話の名作。(32頁・★4個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「幸福への道」


9、「ノーカナのこと」高見順

330円 (税込)

「裏切られても、私はノーカナを信じ、愛していた。私は印度人に絶望したくないのであった。私は人間を信じたいのであった」。従軍作家として日本軍占領後のラングーンで文化工作に従事する「私」は、日本人宿舎の使用人世話係として現地人と折衝にあたります。ごまかしや不正、同僚日本人への不信の中で傷つく私は、忠実に働くボーイ、ノーカナに信頼を寄せるようになります。しかしノーカナは私に隠れて物資の横流しをしていた……。(28頁・★3.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「ノーカナのこと」


10、「雪の夜の話」 太宰治

330円 (税込)

「少しお変人の小説家」を兄にもつ女学生・しゅん子は、身籠った嫂と三人暮らし。東京に雪がたくさん降ったある日、学校帰りに寄った中野の叔母さんからスルメを二枚もらったものの、雪の中に落としてしまいます。そのスルメは二人分お腹が減るようになった嫂に持って帰ろうと思ったもの。その時しゅん子は、いつか兄に聞いた「人間の眼玉は、風景をたくわえる事が出来る」という話を思い出します……イノセンスと諧謔が交錯する太宰文学の真骨頂。(12頁・★1.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「雪の夜の話」


11、「団栗」 寺田寅彦

330円 (税込)

年若くして結婚した妻、夏子が肺結核で喀血し、亡くなって三年後に「ホトトギス」に初めて「寅彦」の署名で発表された文章。「私はこれは随筆というより小説だと思っている」と安岡章太郎氏は記していますが(岩波書店『寺田寅彦全集』第一巻解説)、「もう何年前になるか思い出せぬが日は覚えている」という書き出しで始まるこの文章は、自らの痛切な体験を語って詩情と運命への深い思いが同居する、無類に美しいものとなっています。(12頁・★1.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「団栗」


12、「町の踊り場」 徳田秋声

330円 (税込)

1933年3月「経済往来」掲載。前年8月に金沢にいる姉が死去し、その葬儀のために帰省した体験を描いたものです。本作が川端康成や室生犀星に高く評価されたことで、秋聲晩年の復活へと繋がりました。姉の家を抜けだして鮎の魚田を求めたり、裏町のダンスホールに立ち寄ったりする奔放な語り手の行動から、満洲事変後の戦争に向かってゆく時代の世相や、古い文化と新しい文化が交錯する金沢の街が鮮やかに浮かび上がる秋聲珠玉の短篇。(24頁・★3個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「町の踊り場」


13、「鶏」 中島敦

330円 (税込)

パラオ南島庁の官吏として滞在したコロール島での体験から生まれた「南島譚」のなかの一作。濃い親交を結んだ土方久功(南洋の文化に造詣の深い彫刻家・民俗学者)の日記からモチーフを得ていますが、そこに描かれた原住民の人物造形はかなりデフォルメされており、当の土方には「読まれると恥ずかしいから」との理由で献本しなかったといわれています。それだけに、中島敦が異民族、ひいては人間というものの不可解さをどうフィクションに仕上げているかが伺えて興味が尽きません。(24頁・★3個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「鶏」


14、「自転車日記」 夏目漱石

330円 (税込)

ロンドンに留学中だった漱石が、下宿のお婆さんに勧められ、三十五歳にして初めて自転車に挑戦。指南役に従い自転車屋で中古の自転車を入手、さっそく特訓が始まります。……異国にあって神経衰弱を患い、人嫌いになっていくという暗いイメージが先行する漱石の留学体験ですが、その先入観を払拭するような自虐とユーモアに溢れた文章です。多彩な比喩に富み、講談の名手をも思わせる語り口は、後年の「吾輩は猫である」の誕生を予見させます。(20頁・★2.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「自転車日記」


15、「幸福の彼方」 林芙美子

330円 (税込)

戦争で片眼を失って戻ってきた信一と見合い結婚をした絹子。ふたりはともに御前崎に生まれ、名古屋に暮らしていました。千種駅の近くに家を借りて新世帯をもったふたりは、しばし御前崎に戻って信一の実家を訪ねます。御前崎の白い波を見ながら信一はある告白をします。実は自分にはひとり、子どもがいる、と……庶民の飾らない暮らしを写し、その中にある人情や男女の心理の機微を巧みな筆致で描き出して、爽やかな読後感を与える一篇。(28頁・★3.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「幸福の彼方」


16、「秋日記」 原民喜

330円 (税込)

1947年4月「四季」掲載。左翼運動を断念ししばらく退廃的な生活を送っていた民喜でしたが、佐々木基一の姉の永井貞恵と結婚後に充実した創作活動に入ります。本作は1944年にその愛妻を喪った体験を描いた連作の一つで、入院した妻のもとに通う日々が綴られています。語り手の目に映る世界は、作中の表現を借りれば「結晶体」のように繊細でどこまでも澄みきっており、戦争の時代を背景に様々な別れの気配が詩的に凝結されています。(24頁・★3個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「秋日記」


17、「辛夷の花」 堀辰雄

330円 (税込)

「春の奈良へいって、馬酔木の花ざかりを見ようとおもって、途中、木曽路をまわってきたら、おもいがけず吹雪にあいました。……」。東京を発ち、甲斐の山々を目に木曽福島に一泊。翌日、乗った中央西線の汽車の車窓に映る雪に覆われた木曾の風景。雪のまにまに咲く辛夷の花が、「僕」には見えない……。電車で木曾谷を通ったことのある者であれば、まるで目の前に風景が立ち現れるような、堀辰雄のみごとな描写です。初出は「婦人公論」(一九四三年)。(12頁・★1.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「辛夷の花」


18、「身上話」 森鴎外

330円 (税込)

千葉の大原海岸にある料理屋を兼ねた宿屋に逗留する学徒圭一は、どことなく色香の漂う宿の女中、花にしばしば手紙の代筆を頼まれていました。その花から手紙の宛先の旦那、辻村との因縁を聞き出しますが……会話体のなかに時代の様相や男女の機微を鮮やかに描きとめた名篇。大江健三郎との対談集『文学の淵を渡る』(新潮社)のなかで、古井由吉は「いわゆる日本の短篇のはじまり。日本の短篇の語り口がすでにここにある」と評しました。(20頁・★2.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「身上話」


19、「微笑(上)」 横光利一

330円 (税込)

作家梶のもとに現れた、栖方という俳号を持つ青年科学者。彼が開発中だと話す殺人光線は、敗色濃厚の戦局を打開する希望の光となり得るものでした。どこか狂気をはらむ彼の微笑に惹かれる梶に、栖方は発狂しているという憲兵からの知らせが。そして敗戦。殺人光線を開発していた若き科学者が敗戦の報を聞いて狂死したという新聞記事を読んだ梶は、行方不明の栖方の死を確信しますが……狂気と正気のはざまをたゆたう横光利一の遺作。(上巻)(28頁・★3.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「微笑(上)」


20、「微笑(下)」 横光利一

330円 (税込)

作家梶のもとに現れた、栖方という俳号を持つ青年科学者。彼が開発中だと話す殺人光線は、敗色濃厚の戦局を打開する希望の光となり得るものでした。どこか狂気をはらむ彼の微笑に惹かれる梶に、栖方は発狂しているという憲兵からの知らせが。そして敗戦。殺人光線を開発していた若き科学者が敗戦の報を聞いて狂死したという新聞記事を読んだ梶は、行方不明の栖方の死を確信しますが……狂気と正気のはざまをたゆたう横光利一の遺作。(下巻)(36頁・★4.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「微笑(下)」