2022年6月14日更新


ブックジャケット

ブックジャケット

1,980円 (税込) [JAN]4582628020012

まったく新しい読書体験のはじまり……好きな作家の好きな作品を集めて、あなただけの短篇集をつくってみましょう。別売の「作品リフィル」を、付属の軸棒を使ってこのブックジャケットに綴じます。最大およそ200ページ。作品リフィルには8ページにひとつの★印がついています。合わせて25個までが目安です。さあ、あなたの掌に、豊かに広がる短篇小説の世界を! なお、デザインは名久井直子さんです。

(付属品:ステンレス軸棒15本、貼ってはがせるコンテンツシール3枚、使い方マニュアル)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー ブックジャケット
田畑書店公式通販サイト ポケットアンソロジー ブックジャケット


ポケットアンソロジー スターターキット

荒川洋治・選『初めての世界』

¥3,850 (税込) [JAN]4582628021262

アンソロジスト荒川洋治が選ぶ最良の短編小説入門をポケットアンソロジーで味わう。
ブックジャケット作品リフィル8篇その紹介を加えセットにしたポケットアンソロジーのスターターキットです。

□収録作品リフィル
国木田独歩 画の悲み
菅忠雄 銅鑼
葉山嘉樹 淫売婦
横光利一 春は馬車に乗って
松永延造 ラ氏の笛
金史良 コブタンネ
小山清 落穂拾い
高見順 不正確な生

amazon ポケットアンソロジー スターターキット 荒川洋治・選『初めての世界
田畑書店公式通販サイト ポケットアンソロジー スターターキット 荒川洋治・選『初めての世界』

季刊 アンソロジスト

作品リフィル  判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし)
あ行

「秋」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020029

1920年、「中央公論」に掲載され、翌21年、新潮社より刊行の『夜来の花』に収録されたものです。初期から続く、歴史や古典に材をとった芸術至上的かつ耽美的な作品から、現実や日常を対象化した作品に移行していくさきがけとなった短篇です。幼なじみの従兄をめぐる姉と妹の三角関係を微妙な心理描写と雅びな文体で描いた本篇は、いかにも大正期らしい均衡がとれた作品で、芥川作品のなかでも人気が高く、広く長く読み継がれています。(28頁・★3.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「秋」
田畑書店公式通販サイト 「秋」 芥川 龍之介


「或阿呆の一生」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020371

「人生は一行のボオドレエルにも若かない。」という有名な文句を冒頭近くに刻んだ作品。芥川自殺後に見つかった遺作で、発表の可否、方法までも、友人の久米正雄に託した形になっている。五十一の短い断章からなるこの文章は、自伝的な要素と末期の眼で世相をとらえつつ、大正から昭和にかけて暗い時代に突入する社会をも予感させ、まさに芥川龍之介という希有な才能を持った作家の〝スワン・ソング〟となっている。(44頁・★5.5個)

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「或旧友へ送る手記」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020487

「誰もまだ自殺者自身の心理をありのままに書いたものはない。(中略)僕は君に送る最後の手紙の中に、はっきりこの心理を伝えたいと思っている」この書き出しの通り、自死に至る心理を、方法を、場所を冷静な筆致で描出する。その主たる動機として記される「唯ぼんやりとした不安」とは何か? 死後に見つかり、久米正雄に宛てたとされるこの遺書で、自らの文学の総決算として自死を選んだ経緯を詳らかに語る。(12頁・★1.5個)

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「おぎん」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020425

元和か寛永か、とにかく遠い昔のこと、長崎は浦上におぎんという童女が住んでいた。大阪から流れてきた仏教徒の両親は亡くなり、孫七とおすみというキリシタン夫婦に信心篤く育てられたおぎんだが、ある年のクリスマスの夜に一家三人が囚われてしまう。あらゆる責苦にも決心が動かなかった三人だが、ただひとり、おぎんのみは土壇場で「おん教を捨てて」しまう。果たしておぎんの内心の真実は? 芥川龍之介「キリシタンもの」の最高峰。(16頁・★2個)

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「お富の貞操」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020326

明治元年五月十四日の昼過ぎ。翌日には官軍が彰義隊を攻撃すると立ち退きのおふれが出た上野界隈にて、降りしきる雨のもと人影もない街に忘れ物を取りにきたお富。暗い家の台所で出くわしたのは泥棒、よく見れば顔見知りの乞食、新公だった。お富の忘れものはお上さんから言いつかった三毛猫。その三毛猫をかたに取り、お富に体を迫る新公。全てを諦めたように帯を解くお富……意外な展開と結末は見事としか言いようのない逸品。(24頁・★3個)

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「疑惑」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020401

明治二十四年、濃尾大地震の惨禍に見舞われた岐阜・大垣でのこと。地元で教師に就いていた男が、梁の下敷きになって身動きがとれなくなった妻を、このままでは苦しんで死ぬと、傍らの瓦で頭を打ち砕き殺してしまう。ところが男は地震からだいぶたってもそのことを口にできないでいる。実は身体的な問題があった妻を不満に思っていた自分には、潜在的な殺意があったのではないかと、男は悩む……人間の心の奥底を鋭く抉る短篇小説。(28頁・★3.5個)

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「枯野抄」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020302

芥川が師と仰ぐ夏目漱石の没後二年目に発表された作。大阪は御堂前、花屋仁左衛門の裏座敷で迎えた松尾芭蕉の最期を看取る弟子たちの様子、病床での俳聖の最期の姿、あるいは臨終を告げる医師・木節の内心をリアルに描く。特に芭蕉をめぐる弟子たちの複雑な思い、死に水をとる瞬間の各々の心理を微分し、分析しながら描き分ける、その筆致が見事。同時に生と死の実相を冷徹に観察する作家としての眼に、根源的な不安の相を見もする。(20頁・★2.5個)

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「戯作三昧(上)」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020449

『南総里見八犬伝』執筆中の馬琴は、創作につかれをおぼえると、世評にいらだったり、芸術と道徳の矛盾を感じたり、自己の能力にも不安を感じることしばしあった。が、いったん戯作三昧の境地に入ると、もろもろの疑惑を一掃して「新しい鉱石のように、美しく作者の前に、輝いている」人生と直面し得た。その馬琴のある日の生活を借りて、芥川自身の芸術観、すなわち道徳観をも止揚する芸術至上主義の境地を説く(24頁・★3個)

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「戯作三昧(下)」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020456

『南総里見八犬伝』執筆中の馬琴は、創作につかれをおぼえると、世評にいらだったり、芸術と道徳の矛盾を感じたり、自己の能力にも不安を感じることしばしあった。が、いったん戯作三昧の境地に入ると、もろもろの疑惑を一掃して「新しい鉱石のように、美しく作者の前に、輝いている」人生と直面し得た。その馬琴のある日の生活を借りて、芥川自身の芸術観、すなわち道徳観をも止揚する芸術至上主義の境地を説く(32頁・★4個)

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「玄鶴山房」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020418

画家堀越玄鶴は、肺結核を患い離れで臥せっている。妻のお鳥も「腰抜け」で寝たきり。ふたりの面倒を見る娘のお鈴と婿の重吉だが、そこに元の妾、お芳が子連れで看病にやってきたことで、この家の空気が変わる。息子同士の諍いに心穏やかならぬお鈴、また看護婦甲野は他人の苦痛を享楽するという病的な性向を持ち、冷ややかな目で一家を見ている。誰もが浅ましく侘びしいという人間の暗澹たる現実を直視した短篇小説。(32頁・★4個)

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「子供の病気」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020333

大正十二年、芥川三十二歳の時の小品。乳飲み児の次男・多加志が腸炎で入院せざるを得ない状況に狼狽する芥川。そんな状況にもかかわらず突然やってきて借金を申し込む厚顔無恥な青年。不安で何にも手がつかないなか、雑誌に掲載する小説の締切に追われる物書きとしての性。入院当日にあってもひっきりなしに訪れる来客。吹っかけられる文学論を虚に聞き流す芥川……子を思うふつうの父親としての芥川像を垣間見る作品。(16頁・★2個)

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「地獄変(上)」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628021323

吝嗇で慳貪だが絵筆をとったら右に出る者はないと言われた画師・良秀は、絵のためならばどんな非道なことも厭わぬ男だった。がまた同時に、愛娘を溺愛する子煩悩な父親でもあった。その娘が仕える堀川の大殿様から地獄変の屏風絵を描けと申しつかった良秀は、常軌を逸した集中度で絵に向かったが、どうしても見なければ描けないものがある、と大殿にあることを申し出た……芸術至上主義を極限まで推し進めた不朽の名篇。(40頁・★5個)

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「地獄変(下)」 芥川龍之介

330円 (税込)   [JAN]4582628021330

吝嗇で慳貪だが絵筆をとったら右に出る者はないと言われた画師・良秀は、絵のためならばどんな非道なことも厭わぬ男だった。がまた同時に、愛娘を溺愛する子煩悩な父親でもあった。その娘が仕える堀川の大殿様から地獄変の屏風絵を描けと申しつかった良秀は、常軌を逸した集中度で絵に向かったが、どうしても見なければ描けないものがある、と大殿にあることを申し出た……芸術至上主義を極限まで推し進めた不朽の名篇。(40頁・★5個)

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「蜃気楼」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020364

芥川龍之介が亡くなる四ヶ月前に発表された作品。当時話題の「蜃気楼」を見に、東京から遊びにきていた大学生のK君と、友人のO君を誘って、鵠沼の海岸に行く。そこで出会った「新時代」を表象するカップル、砂浜で見つけた水葬された死骸についていたと思しき人名が横文字で記された木札……衰弱した心身が潜在意識として死をとらえているのか、妙に澄み切った空間に通底和音のように響くうつろな音階が聞こえる幻想的な短篇。(16頁・★2個)

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「大道寺信輔の半生」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020340

江戸伝来の下町よりも寂れてすたれた本所。自らの生地に向ける思い、わずかに残る見すぼらしく限定的な自然に対する愛着をはじめ、母乳で育てられなかったために愛憎こもごもの牛乳について、憎むべき貧困、あるいは学校、本、友だち……自伝的要素をちりばめながら、自らの文学的感性を形作った環境や出来事を語る、芥川文学を知る上で重要な一篇。(32頁・★4個)

田畑書店公式通販サイト 「大道寺信輔の半生」芥川龍之介


「歯車(上)」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020463

知人の結婚披露宴に列席するため、滞在中の避暑地から上京する「僕」。東海道の停車場で見かけたレエン・コオトの男が不穏な影を落とす。そして視界の隅に現れる半透明な歯車。結婚式のあとホテルに宿泊し小説を仕上げる予定だったが、姉からもたらされた義兄の轢死の報に接し、激しく動揺する。ドッペルゲンガーの怪、自らの罪深さに慄く「僕」に訪れる死の予感、視界の隅に廻る歯車……最晩年の錯乱した神経が産んだ自死をも予言した驚愕の短篇。(24頁・★3個)

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「歯車(下)」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020470

知人の結婚披露宴に列席するため、滞在中の避暑地から上京する「僕」。東海道の停車場で見かけたレエン・コオトの男が不穏な影を落とす。そして視界の隅に現れる半透明な歯車。結婚式のあとホテルに宿泊し小説を仕上げる予定だったが、姉からもたらされた義兄の轢死の報に接し、激しく動揺する。ドッペルゲンガーの怪、自らの罪深さに慄く「僕」に訪れる死の予感、視界の隅に廻る歯車……最晩年の錯乱した神経が産んだ自死をも予言した驚愕の短篇。(32頁・★4個)

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「点鬼簿」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020357

「僕の母は狂人だった。」悲痛な一文で始まる自伝。「点鬼簿」とは死者の姓名を記した帳面のこと。生後すぐに養家に出された芥川が、その母親への冷めた思い、死に臨んだ折の複雑な心境を綴る。次にそこに加えるのは芥川が生まれる前に夭逝した姉の初子。「初ちゃん」と呼ばれ姉弟の中で最も賢かったらしいこの姉に、芥川は「或る親しみ」を感じる。そして二十八の時にインフルエンザで亡くなった父……物故した三人の肉親を描く。(16頁・★2個)

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「ひょっとこ」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020296

東京帝大在学中の作。隅田川に浮かぶ花見船の上で衆目が集まるなか、ひょっとこの面をつけ馬鹿踊を踊っている最中に脳溢血で死んだ男の話。男は親父の代からの日本橋の絵具屋主人。酔うと気が大きくなり馬鹿踊をする癖がある。男の癖はそれだけでなく、悪気がないにもかかわらず、ふと嘘をついてしまう。嘘が嘘に重なり、どれが本当の自分かわからなくなってしまう始末。そんな男の最期を描き、人間の虚実皮膜の喜悲劇を喝破した快作。(16頁・★2個)

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「舞踏会」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020319

歴代、数々の教科書にも採択され、芥川の短篇の中でも最もポピュラーなもののうちのひとつ。文明開化の響きが残る明治十九年、鹿鳴館で催された舞踏会の情景を描く。父に連れられて初めての舞踏会に臨む明子。本人の不安をよそに、日本の少女の美を遺憾なく具えた彼女の姿は衆目を集めた。その明子に踊りの相手を名乗り出た仏蘭西の海軍将校。華やかな情景の中にあって文明の刹那的な繁栄とその後ろにある翳りをも描き出した名篇。(16頁・★2個)

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「藪の中」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020388

時は平安。山科の藪の中で男の死骸が見つかった。妻を連れ都から若狭に戻る途中だった。盗人に妻を手ごめにされ殺害されたと思しいが、その妻は消えていた――この惨事を、取り調べを受けた死骸の発見者、事件直前に夫婦を見かけた旅法師、妻の母、盗人の自白、清水寺での妻の懺悔、そして死霊となった男自身の言葉によって多面的に描く。見る角度によって異なる複数の真実、絡まり合う複雑怪奇な人間の性が見事に浮き彫りにされる。(24頁・★3個)

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「竜」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020395

恵印という異形の鼻を持つ法師の話。ふだんより鼻のことで自分を笑う人々を笑い返そうと、猿沢池のほとりに「三月三日この池より竜昇らんずるあり」と嘘の立札を建てた恵印。流言飛語、噂は噂を呼び、都のみならず周辺の国まで巻き込むさまを見て、最初は痛快に思っていた恵印もだんだん恐ろしくなり。さて当日、人の波に溢れる池の周り、皆ことの成り行きを固唾を飲んで見ていたが……現代のフェイクニュースにも通ずる作品。(24頁・★3個)

田畑書店公式通販サイト 「」芥川龍之介


「老年」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020289

「羅生門」の半年前に書かれた実質の処女作。二十二歳とは思えない老成した筆致に注目。場所は隅田川沿いの料理屋。雪のなか一中節(浄瑠璃の一種)の例会に集まる老人たち。料理屋の隠居、房さんは十五の歳から茶屋酒の味をおぼえ、二十五で若大夫と心中沙汰を起こした名うての遊び人だが、今はそんな過去を見る影もない。ところが……新時代の到来に逆行する江戸趣味溢れる空間に、年老いてゆく人間の悲しみを描く芥川らしい一篇。(12頁・★1.5個)

田畑書店公式通販サイト 「老年」芥川龍之介


「蜜柑」 芥川龍之介

330円 (税込)  [JAN]4582628020432

ある曇った冬の日暮れ、横須賀発上り二等客車に乗った「私」の前の席に、いかにも田舎者らしい不潔な服装の十三、四の小娘が座った。霜焼けの手には三等車の切符が。しかも小娘は、ただでさえ不快な私の気持ちを逆撫でするように、隧道に入ろうとする汽車の窓を開けようとしているのだ。怒りさえ込み上げてきた私だったが、隧道から出た汽車の窓の下の光景に、思わず息を呑んだ……倦怠から一転、新鮮な温かみに満たされる逸品。(12頁・★1.5個)

田畑書店公式通販サイト 「蜜柑」 芥川龍之介


「山椒魚」 井伏鱒二

330円 (税込)  [JAN]4582628020494

「山椒魚は悲しんだ。」で始まる、言わずと知れた井伏鱒二の代表作。自分の棲み家である岩屋から、二年出ぬうちに体が大きくなり、入口の穴から出られなくなった山椒魚。「いよいよ出られないというならば、俺にも相当な考えがあるんだ」……この絶対絶命の喜悲劇的状況のなかでの、擬人化された山椒魚の内心の声、周囲の生き物たちとの関係を絶妙に描き、短い紙幅にもかかわらず深い読後感を残す、井伏文学の最高峰。(12頁・★1.5個)

田畑書店公式通販サイト 「山椒魚井伏鱒二


「鯉」 井伏鱒二

330円 (税込)  [JAN]4582628020500

早大学予科で同級となり、物を書く上での大きな支えともなった親友・青木南八からもらった大きな真っ白い鯉の話。下宿の瓢箪池に放ったのだが、転居に際して行き先に困り……大きな展開もなく、淡々とした筆致ながら、そこはかとないユーモアと親友を失った悲しみ、拠り所のない自身の身上など、複雑な味と豊かな読後感を残す。「山椒魚」「屋根の上のサワン」とともに著者が文壇に認められるきっかけともなった井伏文学上、重要な短篇。(16頁・★2個)

田畑書店公式通販サイト 「井伏鱒二


「屋根の上のサワン」 井伏鱒二

330円 (税込)  [JAN]4582628020517

沼池の岸で鉄砲玉に傷ついた雁を見つけた「私」は家に連れ帰り治療を施した。すっかり快復した雁に私は「サワン」と名付け、風切羽根だけ短く切って庭で放し飼いをすることにした。サワンはとても人なつこく、私はそんなサワンを可愛がった。ある月の夜、サワンは屋根に上り叫ぶような鳴き声をたてた。伸ばした首の先には雁の群れが。そしてある日、サワンはいなくなった……渡り鳥との交歓を新鮮な文体で叙情豊かに描いた井伏文学の代表作のひとつ。(12頁・★1.5個)

田畑書店公式通販サイト 「屋根の上のサワン井伏鱒二


「夜ふけと梅の花」 井伏鱒二

330円 (税込)  [JAN]4582628020524

ある夜ふけのこと、空腹とくったくした気持を抱えた「私」はおでん屋でも探そうと牛込弁天町あたりを歩いていた。邸宅の高い塀の内側からは白く咲いた梅の花が覗いている。すると電柱の陰からいきなり男が現れた。男は顔にひどい傷を作っていた。何でも消防士にやられたという。だいぶ酩酊した男は事情も覚えておらず、ただ訴えてやると憤っている。最初はたまげたが、男を宥め、帰って店の主人に申し開きをするすべを授けた「私」に男は感謝して五円札を握らせるが……人間への深い洞察とユーモアに溢れた名作。(16頁・★2個)

田畑書店公式通販サイト 「夜ふけと梅の花井伏鱒二


「丹下氏邸」 井伏鱒二

330円 (税込)  [JAN]4582628020531

田舎で収入役を勤める丹下氏は、使用人の男衆エイを折檻した。性根をいれかえてやろうというのだ。サボっていた時と同じ格好を強要するという奇妙な折檻を傍から見ていた「私」は東京から陶器の窯跡を発掘しにきた好事家。問わず語りに始めた丹下氏の話から、エイの不憫な来歴を知る。夫婦だが同じ住いを持たないエイの妻、オタツは夫の折檻を知り方向先からやってくる……備後弁のユーモラスな語り口と見事な描写が冴える不朽の名作。(24頁・★3個)

田畑書店公式通販サイト 「丹下氏邸井伏鱒二


「外科室」 泉鏡花

330円 (税込)  [JAN]4582628020548

語り手は画師。親友の医学士高峰に頼んで彼の執刀する手術を見学することに。外科室中央の手術台に横たわるのは貴船伯爵夫人。伯爵や親族らが見守るなか、いざ手術を始めようという段になって、夫人は麻酔剤を頑なに拒む。周囲の説得をも全く聞き入れぬその理由とは、意識を無くしてあらぬことを口走る自分がこわいから、とのことだった。心穏やかならぬ伯爵をよそに、高峰はメスを執った……生死の狭間で愛と恐怖が交錯する耽美の極北!(28頁・★3.5個)

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「歌集 無害老人計画」 上坂あゆ美

330円 (税込)  [JAN]4582628020555

認知症を患い、周囲に対して攻撃的になる祖父を目の当たりにし将来を案ずる〈わたし〉。「祖父のあの電話以来、自分が認知症になったら、わたしはいつの時代の自分を輝かしいものとして拠り所にするのだろうか、ということをよく考える。」こうして齢三十歳にしてわたしの「無害老人計画」はスタートした──第一歌集『老人ホームで死ぬほどモテたい』で大きな注目を集めた著者によるエッセイと、第一歌集発表後初の連作短歌!(24頁・★3個)

田畑書店公式通販サイト 「歌集 無害老人計画」上坂あゆ美


「木馬は廻る」 江戸川乱歩

330円 (税込)  [JAN]4582628020586

「ガラガラ、ゴットン、ガラガラ、ゴットン、廻転木馬は廻るのだ。」昔は花形音楽師、やがて徒歩楽隊に落ちぶれたラッパ吹きが、木馬館に常雇いとなった。家に帰れば古女房と三人の子供たちとの生活に追われるラッパ吹きだったが、職場に通うのは心が弾んだ。なぜならば、そこにはお冬という十八歳の女車掌がいたから。決して器量よしとはいえないが、妙に気持ちをそそる彼女に気もそぞろ……乱歩にとっては異色だがなぜか心に残る小品。(24頁・★3個)

田畑書店公式通販サイト 「木馬は廻る江戸川乱歩


「父の自転車と母の赤い車」 太田靖久

330円 (税込)  [JAN]4582628020661

〈私〉の父は運転免許がない。かわりにどこに行くにも自転車。その父の愛車に乗せてもらって出かけるのが、私は大好きだった。一方、母は真っ赤な自動車を乗り回して生命保険の営業に……「ポケットアンソロジー」のスタートにあたっての編集部の依頼に応え、「〈乗り物〉をテーマに編んだアンソロジーに、もし自分の短篇を加えるとすれば……」という想定のもと、「季刊 アンソロジスト」創刊号に書き下ろした、味のある短篇小説。(12頁・★1.5個)

田畑書店公式通販サイト 「父の自転車と母の赤い車」太田靖久


「赤い蝋燭と人魚」 小川未明

330円 (税込)  [JAN]4582628020227

北方の冷たく暗い海に棲む人魚の妊婦は、人間の世界に憧憬を抱き、海岸の小さな町の老夫婦ふたりで蝋燭を商っている店の前に女児を産み落とした。老夫婦は、神様から授かった子どもと心得、人魚の娘と知りつつその子を育てることにした。長じた人魚は、せめてもの恩返しと蝋燭に絵を描くと、その蝋燭は海難から船人を守ってくれると、飛ぶように売れたが……人間の欲望とエゴが生む悲しい運命を幻影の世界に描く傑作童話。
(20頁・2.5個)

田畑書店公式通販サイト 「赤い蝋燭と人魚」小川未明


「雪の夜」 織田作之助

330円 (税込)  [JAN]4582628020036

大晦日の夜、別府。番傘を立てて通りの客を待つ易者が、料亭から女たちを侍らせて出てきた、羽振りのよさそうな男とばったり出くわします。それは因縁の男。易者は大阪で印刷業を営む堅実な男でしたが、カフェで会った女に溺れて身を持ち崩してしまいます。熱海から東京、東京から別府へ。病を患った女とともに落ちぶれて流れてきた男の運命は? はかない者たちの愚かな、しかし切実な人生を鮮やかに切り取る名篇です。初出は「文藝」(改造社、一九四一年)。(28頁・★3.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「雪の夜」
田畑書店公式通販サイト 「雪の夜」芥川龍之介

か行

「雪後」 梶井基次郎

330円 (税込)  [JAN]4582628020043

大学に残るべきか、それとも就職するべきか。迷っている行一に自らの研究所に席を設け、迎え入れてくれたのは恩師でした。同時に親や親族の反対を押し切って始まった東京郊外での新婚生活。妻の信子の天性の明るさは、つましく単調な生活を飾ります。やがて身籠った信子のために、東京の中心に家を探し始める行一。時代と世相に横たわる漠とした不安と、薄氷を踏むようなささやかな幸せ。梶井文学に珍しい、希望を感じさせる客観小説。(20頁・★2.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「雪後」
田畑書店公式通販サイト 「雪後」芥川龍之介


「桜の樹の下には」 梶井基次郎

330円 (税込)  [JAN]4582628020692

「桜の樹の下には屍体が埋まっている!/これは信じていいことなんだよ。」肺結核の湯治に訪れた湯河原で満開の桜を見た梶井。迫り来る〝死〟に直面しながら、生と死の対置を最高の〝美〟に止揚するレトリックの妙は、自死の予感を秘めてあやしく輝く。短い紙幅に梶井基次郎の文学のすべてが! 桜を見るたびにきっと思い出さざるを得ないほどの名篇。(8頁・★1個)

田畑書店公式通販サイト 「桜の樹の下には梶井基次郎


サンブックス浜田山・選「浜田山の話 他」 片山廣子

330円 (税込)  [JAN]4582628021316

歌人、翻訳家として名高い片山廣子が晩年を過ごした地、浜田山。終戦間際から十三年という短い歳月であったが、この地において歌人として活動(第二歌集『野に住みて』発刊)するとともに、エッセイストとして(『燈火節』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、また翻訳家として多くの作品を残した。そこには貧苦に苦しめられながらも気高く充実した日々があった。この選集には多くの文業の中から特に浜田山について記したものを選び収録した。(44頁・★5.5個)

田畑書店公式通販サイト サンブックス浜田山・選「浜田山の話 他」 片山廣子


「枇杷の少女」 加能作次郎

330円 (税込)  [JAN]4582628020050

私と同年で幼なじみの絹子の家には大きな枇杷の木があり、幼い二人はよく遊んでいました。美しく成長する絹子に恋心を抱く私。絹子が私にそっとくれた黄色に熟したたくさんの枇杷の実に、私は絹子の思いを知るでした。しかし、私は故郷を離れなくてはいけなかった。各所を放浪する私は枇杷の実を見る度に絹子を思い出すのでした。その後、絹子は結婚して出産し、夫と死別したことを知ります。三十年前のこと、今も絹子の家には枇杷の木があるのでしょうか。(24頁・★3個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「枇杷の少女」
田畑書店公式通販サイト 「枇杷の少女」 加能作次郎


「コブタンネ」 金史良

330円 (税込)  [JAN]4582628020760

北朝鮮生まれで東京帝国大学卒、日本語ですぐれた小説を書き芥川賞候補にももなった著者が、自らの子ども時代を題材に描いた一景。「私」の家の貸し部屋に住み、小さい時に遊んだ少し年上の女の子、コブタンネに抱いた甘酸っぱい思いと思春期にまで至らぬ少年のこそばゆいような気持ち。突然、引越して行ったコブタンネと、十四、五年経って思わぬ再会を果たす。時の経過と人懐かしさを一筆描きのような見事な筆致で描く佳品。(12頁・★1.5個)

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「入梅」 久坂葉子

330円 (税込)  [JAN]4582628020067

島尾敏雄の紹介で同人誌「VIKING」に参加し、久坂葉子のペンネームを用いて初めて発表した短篇。一児を抱えた戦争未亡人が若いころ習いおぼえた「絵ざらさ」で生計を立てていこうとしますが、目下の心配事はその家に下男として仕えてきた老人と、親子ほど年の離れた使用人の若い娘との情事でした……夫を早くに亡くした女の寂しさ、若い女の奔放さと移り気に振り回される年老いた男の愚かさなど、十八歳とは思えぬ人生への洞察を秘めた一篇。(24頁・★3個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「入梅」
田畑書店公式通販サイト 「入梅」久坂葉子


「画の悲み」 国木田独歩

330円 (税込)  [JAN]4582628020777

「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 荒川洋治・選《初めての世界》紹介作品
ポケットアンソロジースターターキット 荒川洋治・選『初めての世界』収録作品

全校一腕白で勉強もできる自分が、大好きな画を描くことに関しては、しのぎを削る競争者がいた。それが志村という少年だった。彼は温厚で人気もあり、一方、傲慢で教師からも生徒からも疎まれている自分にとってはまさに「目の上のたんこぶ」だった。その志村と、ふとしたことから大の仲良しになる。お互いを強く結びつけたのは、「画」だった。そして幾年かが経ち……大人の胸まで熱くさせる子どもの世界を巧みに描く独歩の真骨頂!(16頁・★2個)

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「初恋」 国木田独歩

330円 (税込)  [JAN]4582628020074

「僕の十四の時であった。僕の村に大沢先生という老人が住んでいたと仮定したまえ。」という口上から始まる掌篇。餓鬼大将だった「僕」が村で評判の頑固な漢学者をへこませてやろうと歯向かい、逆に気に入られて下男と十二歳になる孫娘と三人で暮らす家に入り浸るようになる、というシンプルな物語ながら、最後まで一気に読ませる語り口のみごとさ、また読後にそこはかとない人恋しさを残す点において、無上の一篇です。(8頁・★1個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「初恋」
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「父の死」 久米正雄

330円 (税込)  [JAN]4582628020234

長野県は上田。とある女学校が火事で燃えた。六角塔の階上に掲げてあった御真影もすっかり焼けてしまった。その責任を深く感じた同校の校長を務める父親は、書斎に籠ったまま思い詰め、とうとう腹に刃を立て、頚動脈を切って自ら果てた。その武士の志を継いだ潔さを褒め称える町中の人々、違和を憶えながら不思議な幸福にひたる私。そして……少年の頃の著者の切実な体験に根ざした名篇。(32頁・★4個)

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「疑問符で終る話」 後藤明生

330円 (税込)  [JAN]4582628020784

「とにかく被害者にだけはならないことだ。(中略)そのためにはあのテレビ屋を、絶対に玄関で食い止めるべきだ」。時代は高度成長期。各家庭が白黒テレビからカラーテレビへと切り替えつつある頃。鉄筋コンクリート五階建ての団地の二階に住む男が、テレビの修理屋を相手に演ずるひとり相撲の様子を独特のユーモアを交えた語り口で伝える。特にテンポのいい夫婦のやりとりが、上質な漫才を聴いているようで楽しい。(48頁・★6個)

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「道」 後藤明生

330円 (税込)  [JAN]4582628020791

著者がこよなく愛した軽井沢町追分の別荘で過ごす夏。仕事に集中するため、作家は家族に先がけてひとり別荘にやってきた。するとなぜか、家にいたる道には切り倒された大きな欅の木が横たわっている。ほとんど毎日訪ねてくる近所に住む花豆老人に、欅の木が切り倒されたわけを聞こうとするが……「歯茎を食べるような口の動かし方」をする地元の老人とのちぐはぐなやりとりを、軽井沢の風景のなかに軽妙な筆致で描く。(32頁・★4個)

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「夢かたり」 後藤明生

330円 (税込)  [JAN]4582628020807

夏目漱石の「夢十夜」について語るエッセイ風の叙述から、「漱石は『夢十夜』を四十一歳で書いた。わたしはいま四十二歳である。それがまことに残念でならない」という記述を経て、気がつくと読者は著者が少年時代を過ごした北朝鮮の永興という町の情景へと誘われる。遊び友だち、学校の様子、駄菓子屋のおばあさん、朝鮮そば屋のつゆが煮える匂い……後藤明生独特の「思考テレポーテーション」が存分に味わえる名篇。(28頁・★3.5個)

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「宝船」 後藤明生

330円 (税込)  [JAN]4582628020814

枕の下に敷いて寝ると良い初夢が見られるという〝宝船〟の話から、五年前に移り住んだマンションのゴミの分別について、貰ってきた飼い猫は執筆の合間合間に作家の関心を引きつける。そうして迎えた大晦日。宝船の封筒を開けた作家はワインを飲みながらテレビで映画を見続ける。そして明け方の五時近く、ふとんに入ってみたが……脱線に次ぐ脱線、どこに連れていかれるのやら、語りの快楽に酔いながら、読者は思わぬ着地点へ!(36頁・★4.5個)

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「しんとく問答(上)」 後藤明生

330円 (税込)  [JAN]4582628020821

近畿大学文学部に教授として招聘され大阪に移住した著者が、地図を片手に大阪の街を探索する。目的地は八尾市高安の山畑(やまたけ)村。そこには謡曲の『弱法師』や説教節『しんとく丸』に描かれた伝承上の人物、俊徳丸が没したとされる鏡塚がある。地図とガイドブックを頼りに迷いながら鏡塚に向かう様や、そこでの出来事が、あみだくじのごとく語られる。大阪という未知の土地への尽きせぬ興味、探索する楽しみに満ちた一篇。(40頁・★5個)

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「しんとく問答(下)」 後藤明生

330円 (税込)  [JAN]4582628020838

近畿大学文学部に教授として招聘され大阪に移住した著者が、地図を片手に大阪の街を探索する。目的地は八尾市高安の山畑(やまたけ)村。そこには謡曲の『弱法師』や説教節『しんとく丸』に描かれた伝承上の人物、俊徳丸が没したとされる鏡塚がある。地図とガイドブックを頼りに迷いながら鏡塚に向かう様や、そこでの出来事が、あみだくじのごとく語られる。大阪という未知の土地への尽きせぬ興味、探索する楽しみに満ちた一篇。(20頁・★2.5個)

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「落穂拾い」 小山清

330円 (税込)  [JAN]4582628020845

自らを作家と認ずるがいまだ単行本一冊も出すに至らぬ、どこか寂しげな中年作家が、自炊しながらひとり住んでいる街、武蔵野市の片隅で出会う人びと。終戦後出稼ぎに行った夕張炭鉱でともに働いたF君の思い出。特に駅の近くで健気にひとりで古本屋を営む娘との淡くも温かな交流が心に残る。戦後七年が経ち、自らを励ましながら自分の道を歩み始める作家の、願望をも含めたさりげない筆致がえも言われぬ味わいを醸す短篇小説。(24頁・★3個)

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「老人と鳩」 小山清

330円 (税込)  [JAN]4582628020852

ある日突然倒れ、失語症に陥った老人は、野原のはずれにある部屋に引っ越した。ひとりだった。誰も音沙汰がなかった。近所の子供が飼っている鳩を見て可愛いと思った老人は、小刀で木彫の鳩を作った。部屋には黒猫がやってきて住みついた。やがて徒歩十分ほどのところに「ハト」という名のコーヒー屋ができた。そこの十七、八くらいの娘と老人の淡いまじわり……訥々と繰り出すことばが不思議に澄明な世界を生み出す私小説の佳品。(16頁・★2個)

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さ行

「風博士」 坂口安吾

330円 (税込)  [JAN]4582628020258

〈諸君は偉大なる風博士を御存知だろうか? ない。嗚呼〉——自殺を偽装した風博士殺人の容疑をかけられた主人公が、警察の取り調べに答える形を借り、風博士の遺書を引用しながら、蛸博士との確執を、大上段に構えたユーモラスな語り口で綴るナンセンス・コント。アテネ・フランセの仲間たちと出した同人誌「青い馬」に掲載。牧野信一から絶賛され、ファルス(笑劇)の精神を唱えて文壇へ登場するきっかけとなった作品。(16頁・★2個)

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「幸福への道」 素木しづ

330円 (税込)  [JAN]4582628020081

まばゆい光に溢れた秋の一日。足が不自由で松葉杖をついた「彼女」は、恋人とともに電車に乗って「静かな、空の広い野」をめざします。しかし野の幸福を求める心はまた、夜のかなしみを抱いてもいました。彼女の弱い肉体に征服された心は、すべてが寂寥に、すべてが悲哀に終りはしないか、という不安に慄きがちでした。果たして「無上の光に輝いてる花の広い野」はあるか? 恋がはらむ喜びと不安を象徴性に満ちた文章で鮮やかに描いた名篇。(20頁・★2.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「幸福への道」
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「西班牙犬の家」 佐藤春夫

330円 (税込)  [JAN]4582628020241

愛犬フラテと散歩に出た〈私〉は、ずんずんと進むフラテの後に従って、未知なる雑木林の奥深くに足を踏み入れる。「この地方にこんな広い雑木林があろうとは」次第に好奇心に駆られた〈私〉は、やがて林の奥にぽつんと建った一軒の西洋風の家の前に出た。その家には主人はおらず、ただ一匹の真っ黒な西班牙犬がのっそりと横たわっていた……見慣れた田園の風景の中に、日常からふと遊離した幻想的な世界を描き出す傑作短篇小説。(20頁・★2.5個)

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「若芽」 島田清次郎

330円 (税込)  [JAN]4582628020883

ある文士が逝った。彼の第一作は、文学雑誌に掲載されるや称賛を浴び、文壇の話題となった。しかし、東京へ住まう文士の音沙汰が絶えると、父親は彼の元を尋ねる。華々しい称賛の影で彼は蹉跌をきたし、病に臥すほどとなってしまっていた。病臥しながらも彼は原稿を書き続け、自らの死を迎えることが先か、原稿の完成が先かの瀬戸際を彷徨う。彷徨の末に完成した原稿を父親に託すも、老いは確実に父親にも刻まれていた——。(20頁・★2.5個)

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「銅鑼」 菅忠雄

330円 (税込)  [JAN]4582628020890

大正期、東京の上流家庭。二十歳の長男を頭に八人の子供たちを抱えるこの家の生活は、銅鑼に始まり銅鑼に終わっていた。そこに訪れたのは主人が父親がわりに育てた甥、演劇にかぶれ家を出て俳優となった謙吉だった。今度の舞台のために銅鑼を借りたい、との謙吉の申し出を首肯した主人。一家で観劇して我が家の銅鑼の出世を喜んだが、果たして生活のリズムを失った家庭の行く末はいかに……物と心の豊かなつながりを描いた佳品。(12頁・★1.5個)

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「星の女」 鈴木三重吉

330円 (税込)  [JAN]4582628020098

天上から美しい下界を眺めつつ、いつかあそこへ下りてみたいと憧れていた〈星の女〉の三姉妹は、蜘蛛の王様に頼み込み、ある日、蜘蛛の糸をつたって地上へと下り立ちました。ところがいちばん下の美しい妹は、着物をなくしたことから天上に帰れなくなってしまいました。その着物をとってしまった若い猟人と〈星の女〉は結婚したのですが……英語圏で紹介されたインドの説話に材をとりながら、詩的できらびやかなj独自の幻想の中に運命の悲哀を描いた童話の名作。(32頁・★4個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「幸福への道」
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た行

「ノーカナのこと」高見順

330円 (税込)  [JAN]4582628020104

「裏切られても、私はノーカナを信じ、愛していた。私は印度人に絶望したくないのであった。私は人間を信じたいのであった」。従軍作家として日本軍占領後のラングーンで文化工作に従事する「私」は、日本人宿舎の使用人世話係として現地人と折衝にあたります。ごまかしや不正、同僚日本人への不信の中で傷つく私は、忠実に働くボーイ、ノーカナに信頼を寄せるようになります。しかしノーカナは私に隠れて物資の横流しをしていた……。(28頁・★3.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「ノーカナのこと」
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「不正確な生」 高見順

330円 (税込)  [JAN]4582628020906

普通ならばゆうに定年を迎えている歳の作家の「わたし」が「若く見える」のは自他ともに認めるところ。外見だけでなく気も若く、屋台のおでん屋で出会った若い男女の真似をしてツイストを踊り、不覚にも脳貧血で意識を失ってしまう。一方、妻が看ている母は脳溢血で二度倒れるもいたって元気。その母から「実は」と生年が違っていることを告げられた「わたし」。自らの人生の曖昧さ、あやふやさを描いた文豪没前二年前の作品。(28頁・★3.5個)

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「雪の夜の話」 太宰治

330円 (税込)  [JAN]4582628020111

「少しお変人の小説家」を兄にもつ女学生・しゅん子は、身籠った嫂と三人暮らし。東京に雪がたくさん降ったある日、学校帰りに寄った中野の叔母さんからスルメを二枚もらったものの、雪の中に落としてしまいます。そのスルメは二人分お腹が減るようになった嫂に持って帰ろうと思ったもの。その時しゅん子は、いつか兄に聞いた「人間の眼玉は、風景をたくわえる事が出来る」という話を思い出します……イノセンスと諧謔が交錯する太宰文学の真骨頂。(12頁・★1.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「雪の夜の話」
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「駈込み訴え」 太宰治

330円 (税込)  [JAN]4582628020913

裏切り者の代名詞ともなっている「イスカリオテのユダ」のひとり語りで、全編を一気に読ませる。「あの人」イエス・キリストに向ける愛憎、付き従う弟子たちに対する軽蔑……聖と俗、清と濁、無私とエゴなどアンビバレンツな感情と価値観を痒いところに手が届くようなレトリックで現わし、最後の着地に至るまで見事な「太宰節」が横溢する。妻・美知子に口述筆記で書き取らせたといわれる、太宰の才能が遺憾なく発揮された名作。(28頁・★3.5個)

田畑書店公式通販サイト 「駈込み訴え」太宰治


「女生徒(上)」 太宰治

330円 (税込)  [JAN]4582628021378

「あさ、眼をさますときの気持は、面白い。」から「眠りに落ちるときの気持って、へんなものだ」まで。少女のさりげない一日をモノローグの文体で描く。父を病いで失い、姉は嫁いでいまは母親とふたり暮らし。学校のこと、友だちのこと社会のこと……大人になる一歩手前の女の子の無垢な内面を独特な語り口でなぞり、自意識とナルシシズム、理想と現実の間に揺れ動く心を絶妙に描いた太宰のフェミニンな資質が全篇にみなぎる傑作。(36頁・★4.5個)

田畑書店公式通販サイト 「女生徒(上)」太宰治


「女生徒(下)」 太宰治

330円 (税込)  [JAN]4582628021385

「あさ、眼をさますときの気持は、面白い。」から「眠りに落ちるときの気持って、へんなものだ」まで。少女のさりげない一日をモノローグの文体で描く。父を病いで失い、姉は嫁いでいまは母親とふたり暮らし。学校のこと、友だちのこと社会のこと……大人になる一歩手前の女の子の無垢な内面を独特な語り口でなぞり、自意識とナルシシズム、理想と現実の間に揺れ動く心を絶妙に描いた太宰のフェミニンな資質が全篇にみなぎる傑作。(36頁・★4.5個)

田畑書店公式通販サイト 「女生徒(下)」太宰治


「葉桜と魔笛」 太宰治

330円 (税込)  [JAN]4582628020937

三十五年前、父と私と妹は三人で生きていた。妹は腎臓結核に罹り百日ももたないと言われていたにもかかわらず、健気に生きる姿を見て、私は気も狂いそうであった。妹の箪笥を整理していたある日、私はM・Tという男性からの手紙を見つけた。ふたりの恋愛は醜くすすんでいて、私は手紙を焼き捨てた。M・Tとして紡いだ手紙を読んだ妹は、自らの過去に初めて後悔する……。病気と恋愛に翻弄される姉妹が信じられるものとは。(16頁・★2個)

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「HUMAN LOST」 太宰治

330円 (税込)  [JAN]4582628020920

太宰二十五、六歳のころ、大学卒業危うく、都新聞の入社試験にも落ちて精神的に不安定な時期、盲腸の手術後の腹膜炎の痛みを抑えるため用いたパルビナールが癖になって、中毒に陥る。その治療のために様々な病院に入退院を繰り返した経験を反映して、板橋区の脳病院に入院した体験記を日記形式で綴った小説。精神が混乱を来し、支離滅裂になる直前の微妙なバランスを、一見書きなぐったように思わせながら、周到な構成も見られる。(44頁・★5.5個)

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「刺青」 谷崎潤一郎

330円 (税込)  [JAN]4582628020265

それはまだ人々が「愚か」という貴い徳を持っていた時代……光輝ある美女の肌に己れの魂を掘り込むことを宿願とした彫師・清吉は、深川の料亭前で駕籠の簾からこぼれる白い足を見て激しい憧れを抱く。一年と経たないうちに偶々その足の持ち主である娘に出会った清吉は、彼女を麻酔で眠らせて、その清浄な肌を自分の恋で彩るべく、巨大な女郎蜘蛛の絵を掘っていった──後年の谷崎作品に共通するモチーフが見事にあらわれた処女作。(16頁・★2個)

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「少女病」 田山花袋

330円 (税込)  [JAN]4582628020982

杉田古城、三十七歳。かつては少女小説を書きその名を揚げたが、今はしがない編集者である。彼の趣味は少女観察。通勤電車で出会う少女たちの肉体を観察し、髪の匂いを感じ、家庭での姿さえ妄想することが彼の愉楽である。彼女らを抱けば、自らの濁った血が新しくなるとも思う。ある帰りの電車で、杉田はもう一度逢いたいと思っていた令嬢に邂逅する。彼女の美しい姿に見とれる刹那、彼は摑まっていた真鍮の棒を離してしまう——。(32頁・★4個)

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「団栗」 寺田寅彦

330円 (税込)  [JAN]4582628020128

年若くして結婚した妻、夏子が肺結核で喀血し、亡くなって三年後に「ホトトギス」に初めて「寅彦」の署名で発表された文章。「私はこれは随筆というより小説だと思っている」と安岡章太郎氏は記していますが(岩波書店『寺田寅彦全集』第一巻解説)、「もう何年前になるか思い出せぬが日は覚えている」という書き出しで始まるこの文章は、自らの痛切な体験を語って詩情と運命への深い思いが同居する、無類に美しいものとなっています。(12頁・★1.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「団栗」
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「名作文学焼芋登場大全」 おいもとほん talkingbook・選

330円 (税込)  [JAN]4582628021309

日本が近代化することで新たに生まれたテーマを、名作文学の多くは重層的に内包しています。「都市」「恋愛」「階層」「貧困」……、特に「幸福」はどのテーマとも通底するものです。「幸福」を希求する多くの庶民の傍らに、名作文学はあるものを置きました。それが焼芋です。温かさと味と、向けられた面差しと、名作文学に登場する焼芋からはどれも、ささやかながらかけがえのない「幸福」を感じることができます。(44頁・★5.5個)

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「町の踊り場」 徳田秋声

330円 (税込)  [JAN]4582628020135

1933年3月「経済往来」掲載。前年8月に金沢にいる姉が死去し、その葬儀のために帰省した体験を描いたものです。本作が川端康成や室生犀星に高く評価されたことで、秋聲晩年の復活へと繋がりました。姉の家を抜けだして鮎の魚田を求めたり、裏町のダンスホールに立ち寄ったりする奔放な語り手の行動から、満洲事変後の戦争に向かってゆく時代の世相や、古い文化と新しい文化が交錯する金沢の街が鮮やかに浮かび上がる秋聲珠玉の短篇。(24頁・★3個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「町の踊り場」
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「蝦蟇」 豊島与志雄

330円 (税込)  [JAN]4582628020999

五月頃から家の縁先に一匹の蝦蟇が出た。悠然と佇む大きな力に満ちている蝦蟇を、私と妻は時間を忘れて見つめていた。ある晩、蝦蟇を盥の中に入れて上から石を乗せて置いたが、翌朝蝦蟇は盥の中にいなかった。それきり蝦蟇は私の家の縁先に姿を見せなくなった——。それでも私はそれで良いと思う。ふと、死というものを考えるが、すべてがよく調和していると思う。生きた痕跡がなくなることが死と言えるのか。生死の観念を問い続ける掌編。(8頁・★1個)

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な行

「鶏」 中島敦

330円 (税込)  [JAN]4582628020142

パラオ南島庁の官吏として滞在したコロール島での体験から生まれた「南島譚」のなかの一作。濃い親交を結んだ土方久功(南洋の文化に造詣の深い彫刻家・民俗学者)の日記からモチーフを得ていますが、そこに描かれた原住民の人物造形はかなりデフォルメされており、当の土方には「読まれると恥ずかしいから」との理由で献本しなかったといわれています。それだけに、中島敦が異民族、ひいては人間というものの不可解さをどうフィクションに仕上げているかが伺えて興味が尽きません。(24頁・★3個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「鶏」
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「名人伝」 中島敦

330円 (税込)  [JAN]4582628021408

趙の邯鄲に住む紀昌という男の話。弓の名人を志した紀昌は名手・飛衛に弟子入りした。飛衛はまず瞬きをせざることを学べといい、二年かけてそれを会得した

紀昌が報告に行くと、次は視ることを学べと命ずる。やがて一匹の虱が馬のように見えるようになった紀昌に、飛衛は射術の奥義秘伝をあますところなく伝えた。もはや師から学ぶべき何ものもなくなった紀昌は、果たして名人になれたか? 思わぬ結末、見事なプロットに唸る名篇。(20頁・★2.5個)

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「山月記」 中島敦

330円 (税込)  [JAN]4582628021408

博学才穎、若くして世間に名を轟かせた李徴だが、官吏として仕えるを潔しとせず、ひたすら詩作に耽って世を厭うあまり、その肥大した自尊心ゆえ虎に身を変じてしまう。ある日、勅命を奉じて未明の山道をたどった官吏・ 袁修は、山中で人喰い虎に遭遇するが、その虎が隠れた叢のなかから、ふと聞き覚えのある声が。その声の持ち主こそ、わが友、李徴のものだった……時代を超えて読 みつがれる、中島敦の代表作。(16頁・★2個)

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「宮崎智之セレクト 中原中也名詩選」 中原中也

330円 (税込)  [JAN]4582628021019

中原中也が生前唯一、刊行した自身の詩集『山羊の歌』と没後刊行した『在りし日の歌』、さらに未刊詩篇を含めた詩の中から八篇を選んで収録した。極度に均衡のとれた詩句、節と節との間に生じている緊張感を堪能してほしい。中原中也は、深い悲しみ、葛藤、混沌、優しさの中で詩作した。自己統一を失った詩人が、ふたたび世界をあるがままに取り戻そうとして歌った詩がここにある。(48頁・★6個)

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「自転車日記」 夏目漱石

330円 (税込)  [JAN]4582628020159

ロンドンに留学中だった漱石が、下宿のお婆さんに勧められ、三十五歳にして初めて自転車に挑戦。指南役に従い自転車屋で中古の自転車を入手、さっそく特訓が始まります。……異国にあって神経衰弱を患い、人嫌いになっていくという暗いイメージが先行する漱石の留学体験ですが、その先入観を払拭するような自虐とユーモアに溢れた文章です。多彩な比喩に富み、講談の名手をも思わせる語り口は、後年の「吾輩は猫である」の誕生を予見させます。(20頁・★2.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「自転車日記」
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は行

「猫町」 萩原朔太郎

330円 (税込)  [JAN]4582628021064

北越地方のKという温泉に滞留していた「私」。避暑客も離れすっかり寂しくなった秋のある日、近くのU町まで徒歩で出かけた私は、途中の山道で迷ってしまった。慌てた私はとにかく人里へと山道を下り、麓の町に辿り着いたのだが、そこは果たして……「猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫。どこを見ても猫ばかりだ」詩人のイマジネーションが創出した緊密で繊細な世界を、彫琢した文体で描いた寓話的でもあり哲学的でもある異色短篇。(24頁・★3個)

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「幸福の彼方」 林芙美子

330円 (税込)  [JAN]4582628020166

戦争で片眼を失って戻ってきた信一と見合い結婚をした絹子。ふたりはともに御前崎に生まれ、名古屋に暮らしていました。千種駅の近くに家を借りて新世帯をもったふたりは、しばし御前崎に戻って信一の実家を訪ねます。御前崎の白い波を見ながら信一はある告白をします。実は自分にはひとり、子どもがいる、と……庶民の飾らない暮らしを写し、その中にある人情や男女の心理の機微を巧みな筆致で描き出して、爽やかな読後感を与える一篇。(28頁・★3.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「幸福の彼方」
田畑書店公式通販サイト 「幸福の彼方」 林芙美子


「美しい犬」 林芙美子

330円 (税込)  [JAN]4582628021033

野尻湖畔の別荘地。飼い犬としてモオリスさんに可愛がられたペットだったが、戦争最中にモオリスさんがアメリカに帰ってしまってからは運命が変わった。モオリスさんが恋しいペットは別荘のポーチで暮らしていたが、食べ物もなく湖畔の野良犬となって痩せさらばえてしまった。やがて冬が来て、野尻湖のあたりは深い雪に閉ざされて、行き場のないペットは思い出がいっぱい詰まったモオリスさんの部屋で息絶えたのだが……感動の一篇。(12頁・★1.5個)

田畑書店公式通販サイト 「美しい犬」林芙美子


「淫売婦」 葉山嘉樹

330円 (税込)  [JAN]4582628021057

大正期の横浜・南京街。欧州航路から下船した船乗の「私」に歩み寄る蛞蝓のような男たち。二分銭で「若え者がするだけの楽しみ」を買わないか、と連れていかれた、悪臭と闇に包まれたその奇妙な室の中には、汚穢にまみれた全裸の若い女が横たわっていた。「こいつらの手から彼女を救い出さねば」と義憤に駆られた私だったが、そこには思いもよらぬ真実が……驚愕のストーリーテリングで読者を誘うプロレタリア文学の歴史的名編!(36頁・★4.5個)

田畑書店公式通販サイト 「淫売婦」葉山嘉樹


「秋日記」 原民喜

330円 (税込)  [JAN]4582628020173

1947年4月「四季」掲載。左翼運動を断念ししばらく退廃的な生活を送っていた民喜でしたが、佐々木基一の姉の永井貞恵と結婚後に充実した創作活動に入ります。本作は1944年にその愛妻を喪った体験を描いた連作の一つで、入院した妻のもとに通う日々が綴られています。語り手の目に映る世界は、作中の表現を借りれば「結晶体」のように繊細でどこまでも澄みきっており、戦争の時代を背景に様々な別れの気配が詩的に凝結されています。(24頁・★3個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「秋日記」
田畑書店公式通販サイト 「秋日記」 原民喜


「美しき死の岸に」 原民喜

330円 (税込)  [JAN]4582628021040

長い間病床生活を続ける妻は、澄みきった世界で呼吸をしているようだ。夫である彼が勤めのために一歩外へ出ると、そこは混濁した虚妄の世界のように思える。澄みきった世界で療養を続ける妻には、死の影が迫り来るとは思えなかった。それでも病態が悪化し大学病院へ入院する妻に、冷え冷えしたものが近づいてくる。苦しむ妻に「死」が訪れたとしても、苦しみの彼方の美しい死、最も美しいものの訪れを、彼は願うばかりであった。(24頁・★3個)

田畑書店公式通販サイト 「美しき死の岸に」原民喜


「辛夷の花」 堀辰雄

330円 (税込)  [JAN]4582628020180

「春の奈良へいって、馬酔木の花ざかりを見ようとおもって、途中、木曽路をまわってきたら、おもいがけず吹雪にあいました。……」。東京を発ち、甲斐の山々を目に木曽福島に一泊。翌日、乗った中央西線の汽車の車窓に映る雪に覆われた木曾の風景。雪のまにまに咲く辛夷の花が、「僕」には見えない……。電車で木曾谷を通ったことのある者であれば、まるで目の前に風景が立ち現れるような、堀辰雄のみごとな描写です。初出は「婦人公論」(一九四三年)。(12頁・★1.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「辛夷の花」
田畑書店公式通販サイト 「大道寺信輔の半生」芥川龍之介

ま行

「子規百句(片上長閑・撰)」 正岡子規

330円 (税込) [JAN]4582628021088

子規の名はよく知られているが、その俳句の全容や、幅の広さが語り尽くされたとは言い難い。彼以降の俳人たちの語るところや文学史により、我々は子規、あるいは子規の句から却って遠ざかっていると言えるのではないか。写生による表現を提唱したと言われがちな、そして現実に写生を作句に活かそうとした子規の句は、実際には非常に豊かな様相を見せてくれる。本書では子規の注目すべき百句を撰し、季順、時系列順に配置した。(40頁・★5個)

田畑書店公式通販サイト 「子規百句(片上長閑・撰)」正岡子規


「ラ氏の笛」松永延造

330円 (税込)  [JAN]4582628021071

横浜の病院で臨時雇いとして働く主人公は、ラオチャンドというインド人の青年と出会う。だが、彼はやがて肺結核を患い入院してしまう。彼の世話をしながら、異国人の言葉と人生にひどく惹かれてく主人公。竹笛を巧みに吹くラ氏は、虚無とも平安ともつかぬ独特な人生観を主人公に語る。「どんな場合でも幸福は不幸を持ってあがなってきた」――異国人との心の交流と人種を超えて通底する人間の内奥を清明な言葉とイメージで描く。(24頁・★3個)

田畑書店公式通販サイト 「ラ氏の笛」松永延造


「悔」 水野仙子

330円 (税込)  [JAN]4582628021125

郡立病院で看護婦長を務めるもとめは、夫に若くして先立たれるも、ひとりで子どもふたりを育て上げた。雨が降り続いたある夜、子どもの成長を顧みると同時に、心に抱えていた「悔」を思い返す。彼女が若い時分、ひとりの若い医者の甘い毒気に盲いた。自らの過ちを悔いるよりも、子どもの行く先を考えたとされることに、さらに自責の念は募る。彼女の「悔」は、自身の仮面に報いるのだろうか。過去に揺れる、ある女性の内省の文学。(12頁・★1.5個)

田畑書店公式通販サイト 「悔」水野仙子


「いちょうの実」 宮沢賢治

330円 (税込)  [JAN]4582628021392

冷たくてカチカチに灼きをかけた鋼のような空に星が輝く夜、東の空はもう優しい桔梗の花びらのようにあやしい底光りをはじめている。いっせいに目をさましたいちょうの実たちの話し声がそこかしこから聞こえてくる。彼らにとって今日は旅立ちの日。お母さんの銀杏の木から初めて離れて、散り散りになる日。新しい世界への期待と不安に満ちた彼らのうえに突然光の束が黄金の矢のように降り注ぐ。美しいイメージに彩られた旅立ちのうた。(12頁・★1.5個)

田畑書店公式通販サイト 「いちょうの実」宮沢賢治


「やまなし」 宮沢賢治

330円 (税込)  [JAN]4582628021101

『クラムボンはわらったよ。』『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』──二疋の蟹のきょうだいとその父親の独特のリズムの会話、地の文のやわらかく象徴性に富む詩的な叙述で、幻想的な光景のなかに、光と闇、生と死、恐怖と歓喜など対照的なイメージを配置。詩歌の音調と童話の親しみやすさの底に深い思索を込めつつ、最後は「やまなし」の酒の芳香までただよってきそうなエンディング。宮沢賢治の豊饒な世界を代表する一篇。(12頁・★1.5個)

田畑書店公式通販サイト 「やまなし」宮沢賢治


「身上話」 森鴎外

330円 (税込)  [JAN]4582628020197

千葉の大原海岸にある料理屋を兼ねた宿屋に逗留する学徒圭一は、どことなく色香の漂う宿の女中、花にしばしば手紙の代筆を頼まれていました。その花から手紙の宛先の旦那、辻村との因縁を聞き出しますが……会話体のなかに時代の様相や男女の機微を鮮やかに描きとめた名篇。大江健三郎との対談集『文学の淵を渡る』(新潮社)のなかで、古井由吉は「いわゆる日本の短篇のはじまり。日本の短篇の語り口がすでにここにある」と評しました。(20頁・★2.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「身上話」
田畑書店公式通販サイト 「身上話」 森鴎外


「普請中」 森鴎外

330円 (税込)  [JAN]4582628021132

博学才穎、若くして世間に名を轟かせた李徴だが、官吏として仕えるを潔しとせず、ひたすら詩作に耽って世を厭うあまり、その肥大した自尊心ゆえ虎に身を変じてしまう。ある日、勅命を奉じて未明の山道をたどった官吏・ 袁修は、山中で人喰い虎に遭遇するが、その虎が隠れた叢のなかから、ふと聞き覚えのある声が。その声の持ち主こそ、わが友、李徴のものだった……時代を超えて読 みつがれる、中島敦の代表作。(16頁・★2個)

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や行

「プールのある家」 山本周五郎

330円 (税込)  [JAN]4582628021163

この街にあるルンペンの父子がいた。父は妙にインテリでいつも息子相手に蘊蓄を垂れ、そして子はまた絶妙な相槌を打つのだった。ただ彼らの間に母の話題は決して出なかった。二人がもっぱら夢見心地で語り合うのは、彼らが建てるべき家の話だった。ある日、残飯のしめ鯖にあたったのか、子が死んだ。放心して街を歩く父親の頭に、死ぬ間際に呟いた子の声がこだまする。「プールを作ろうよ」。思わずむせぶ周五郎短篇の真骨頂。(40頁・★5個)

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「わたくしです物語(上)」 山本周五郎

330円 (税込)  [JAN]4582628021170

美濃国多治見の国家老、知次茂平の目下の心配事は、後見人を自ら任じた親友の一粒種、考之助だった。気弱で取り柄はないがとにかく美男。それが災して見かけ倒しとの定評が藩内に立ってしまった。それを挽回すべく使番を任じ、所帯を持てば人も変わるはずと固辞するところどうにか婚約までは取り付けた次第。そんな考之助がある日を境に、何故か藩内で起きた粗相の咎をすべて自分で引受けるようになった……思わぬ展開に心が温まる傑作人情話。(32頁・★4個)

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「わたくしです物語(下)」 山本周五郎

330円 (税込)  [JAN]4582628021187

美濃国多治見の国家老、知次茂平の目下の心配事は、後見人を自ら任じた親友の一粒種、考之助だった。気弱で取り柄はないがとにかく美男。それが災して見かけ倒しとの定評が藩内に立ってしまった。それを挽回すべく使番を任じ、所帯を持てば人も変わるはずと固辞するところどうにか婚約までは取り付けた次第。そんな考之助がある日を境に、何故か藩内で起きた粗相の咎をすべて自分で引受けるようになった……思わぬ展開に心が温まる傑作人情話。(36頁・★4.5個)

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「落ち梅記(上)」 山本周五郎

330円 (税込)  [JAN]4582628021194

幼友達の金之助と半三郎は双俊と呼ばれ、藩主の世子・亀之助の学友として江戸邸で起居を共にするほどだった。長じて異学を教えた咎で身をもち崩し酒と賭博に耽る半之助と、父が倒れた日から思わぬ風雪に巻き込まれる金之助。その二人の間にあって運命に翻弄される金之助の幼馴染・由利江。藩を大きく揺るがす政争の中で輝きを放つ愛と友情……大河小説に匹敵する読後感と期せずして涙を唆られるリリシズム。山本周五郎の魅力を十全に伝える名篇。(40頁・★5個)

田畑書店公式通販サイト 「落ち梅記(上)」山本周五郎


「落ち梅記(下)」 山本周五郎

330円 (税込)  [JAN]4582628021200

幼友達の金之助と半三郎は双俊と呼ばれ、藩主の世子・亀之助の学友として江戸邸で起居を共にするほどだった。長じて異学を教えた咎で身をもち崩し酒と賭博に耽る半之助と、父が倒れた日から思わぬ風雪に巻き込まれる金之助。その二人の間にあって運命に翻弄される金之助の幼馴染・由利江。藩を大きく揺るがす政争の中で輝きを放つ愛と友情……大河小説に匹敵する読後感と期せずして涙を唆られるリリシズム。山本周五郎の魅力を十全に伝える名篇。(40頁・★5個)

田畑書店公式通販サイト 「落ち梅記(下)」山本周五郎


「「青べか」を買った話」 山本周五郎

330円 (税込)  [JAN]4582628021224

著者が若い頃に住んだ浦粕(現・浦安)を舞台に描いた自伝的名作『青べか物語』の冒頭に置かれた文章。「べか舟」とは海苔採りに使う平底舟のこと。この小説を象徴する「青いべか舟」を芳爺さんから買った経緯を綴っている。芳爺さんは街でいちばん大きな貝の缶詰工場の倉庫番をしている老人で、狡猾で欲深いがそれゆえにユーモラスで人情味溢れる庶民の姿を体現する人物。著者の巧妙な筆致は著者と対象との距離感をも絶妙に表している。(16頁・★2個)

田畑書店公式通販サイト 「「青べか」を買った話」山本周五郎


「へちまの木(上)」 山本周五郎

330円 (税込)  [JAN]4582628021217

旗本の三男坊で、養子に出されそうになり家出した房二郎は、小網町の居酒屋で知り合った瓦版記者、木内桜谷の口利きで同じ職場、文華堂の見習いとなった。まだ世間ずれする前の二十五歳。覚えた酒に泥酔もし、これも桜谷の紹介で入った下宿の美しい後家、おるいに何かと世話を焼かれる。文華堂の主人、西川文華は女房の尻に敷かれたふりをして金を引き出す吝嗇家。ある日、給料の値上げを訴えた桜谷は解雇されてしまう……江戸情緒の中に描かれた人間模様。(40頁・★5個)

田畑書店公式通販サイト 「へちまの木(上)」山本周五郎


「へちまの木(下)」 山本周五郎

330円 (税込)  [JAN]4582628021286

旗本の三男坊で、養子に出されそうになり家出した房二郎は、小網町の居酒屋で知り合った瓦版記者、木内桜谷の口利きで同じ職場、文華堂の見習いとなった。まだ世間ずれする前の二十五歳。覚えた酒に泥酔もし、これも桜谷の紹介で入った下宿の美しい後家、おるいに何かと世話を焼かれる。文華堂の主人、西川文華は女房の尻に敷かれたふりをして金を引き出す吝嗇家。ある日、給料の値上げを訴えた桜谷は解雇されてしまう……江戸情緒の中に描かれた人間模様。(40頁・★5個)

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「微笑(上)」 横光利一

330円 (税込)  [JAN]4582628020203

作家梶のもとに現れた、栖方という俳号を持つ青年科学者。彼が開発中だと話す殺人光線は、敗色濃厚の戦局を打開する希望の光となり得るものでした。どこか狂気をはらむ彼の微笑に惹かれる梶に、栖方は発狂しているという憲兵からの知らせが。そして敗戦。殺人光線を開発していた若き科学者が敗戦の報を聞いて狂死したという新聞記事を読んだ梶は、行方不明の栖方の死を確信しますが……狂気と正気のはざまをたゆたう横光利一の遺作。(上巻)(28頁・★3.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「微笑(上)」
田畑書店公式通販サイト 「微笑(上)」 横光利一


「微笑(下)」 横光利一

330円 (税込)   [JAN]4582628020210

作家梶のもとに現れた、栖方という俳号を持つ青年科学者。彼が開発中だと話す殺人光線は、敗色濃厚の戦局を打開する希望の光となり得るものでした。どこか狂気をはらむ彼の微笑に惹かれる梶に、栖方は発狂しているという憲兵からの知らせが。そして敗戦。殺人光線を開発していた若き科学者が敗戦の報を聞いて狂死したという新聞記事を読んだ梶は、行方不明の栖方の死を確信しますが……狂気と正気のはざまをたゆたう横光利一の遺作。(下巻)(36頁・★4.5個)

梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「微笑(下)」
田畑書店公式通販サイト 「微笑(下)」 横光利一


「春は馬車に乗って」 横光利一

330円 (税込)  [JAN]4582628021248

病床に伏せる妻を看病する夫。彼女の言葉は日ごとに刺々しくなり、彼の言動を咎めるようになる。耐えぬ口論を彼は「檻の中の理論」と称し、妻は死の領域に繫がれていると思うことで平静を保とうとする。しかし、病魔は彼女の身体を蝕んでゆき、好物の鳥の臓物をせがむ代わりに、彼に聖書の朗読を求める。死の訪れを自覚した彼女は、自らの骨の行方を思い滂沱する。やがて、スイートピーの花束がふたりに春の訪れを告げる——。(28頁・★3.5個)

田畑書店公式通販サイト 「春は馬車に乗って」横光利一


「飛行機から堕ちるまで」 吉行エイスケ

330円 (税込)  [JAN]4582628021255

ここは門司市、東川端の卑猥な街。ホテルの踊場で、踊り狂う人々。列車は疾走し、ボートは夜の河岸を離れ、人々の欲望は興奮と色欲の坩堝に溺れる。F飛行士が乗る飛行機は、午前八時に岡山練兵場を出発した……。〈僕〉が目を覚ますと、広間では相変わらずチイク・ダンスに狂熱する人々の群れ。ダダイスムに傾倒した吉行エイスケが紡いだ光景は、果たして詩か物語か。目眩く言葉の洪水に、我々の秩序は揺がされる。(12頁・★1.5個)

田畑書店公式通販サイト 「飛行機から堕ちるまで」吉行エイスケ

ら行
わ行