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作品リフィルセット
【坂口安吾 短篇アンソロジー】 荻野アンナ・編 安吾、「村人」を描く
□収録作品リフィル
「餅のタタリ」
「保久呂天皇」
「閑山」
「お奈良さま」
「神伝魚心流開祖」(落語・教祖列伝01)
¥1,430円 (税込) ISBN 9784803804324 C0092
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【坂口安吾 短篇アンソロジー】 七北数人・編 坂口安吾の歴史小説
□収録作品リフィル
「織田信長」
「梟雄」
「我鬼」
「勝夢酔」(安吾史譚05)
「花咲ける石」
¥1,430 (税込) ISBN 9784803804331 C0092
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【坂口安吾 短篇アンソロジー】 七北数人・編 坂口安吾の純愛小説
□収録作品リフィル
「傲慢な眼」
「紫大納言」
「禅僧」
「道鏡」(上・下)
「握った手」
¥1,650 (税込) ISBN 9784803804348 C0092
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【坂口安吾 短篇アンソロジー】 わかしょ文庫・編 坂口安吾の入り口
□収録作品リフィル
「お魚女史」
「夜長姫と耳男」(上・下)
「波子」
「おみな」
「青鬼の褌を洗う女」(上・下)」
¥2,000 (税込) ISBN 9784803804355 C0092
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作品リフィル 文庫判・スクラム製本(綴じなし)
「餅のタタリ」 坂口安吾
正月には門松を立てて餅を食べるというのは必ずしも日本全国に行き渡った習慣ではなく、特に上州では昔から正月にはウドンを食べるという習わしがあった。そこにただ一人、若いころ旅先で餅のうまさを知り村にウスとキネを持ち込んだ者がいた。その助六があろうことか宿敵の隣家の主人、平吉から、深夜池から鯉を盗もうとしたという嫌疑をかけられる。正論で身の潔白を証し立てようとしても「村の論理」に歯が立たず、結局、助六は……。(24頁・★3個)
330円 (税込) [JAN]4582628021859
「保久呂天皇」 坂口安吾
保久呂湯は昔はかなり名が知れた霊泉だったが、いまは廃れてたった十一軒の部落の人々の共同湯と化していた。その部落のいちばん天辺でリンゴ園を営む中平の家から大金が盗まれたことを発端に、村中がてんやわんやの有りさまに。村の最下部で保久呂湯を営む三吉、真ん中あたりでシイタケ畑に失敗し、屈託を抱えながら石を積みミササギを作り始めた久作。とりわけこの二人に中平の猜疑は向かうのだが……容赦ない筆致でムラ社会の喜悲劇を描く(32頁・★4個)
330円 (税込) [JAN]4582628021866
「閑山」 坂口安吾
昔、越後之国魚沼に閑山寺というお寺があった。徳望高い六袋和尚が営む寺で、その元に通ってきていた狸までもが感化され、団九郎という小坊主と化し仕えるようになる。やがて静かに入寂した和尚の代わりに来た住持は俗臭ふんぷんたる酒徒で、正視にたえなくなった団九郎は容貌魁偉の雲水に変じて住持を追い出し、自らが住持と成り代わる。ところが村人の悪戯で砥粉を食した住持は放屁が止まらなくなり……聖、俗、はたまた下ネタまでが入り交じった異色作。(20頁・★2.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628021873
「お奈良さま」 坂口安吾
生来オナラが我慢できないタチの寺の住職は、人前でも憚りないどころか、読経の最中にも連発。もはや呆れ果てた檀家からも「お奈良さま」の称号を得る始末だった。そんなお奈良さまに好意的な春山唐七家のご隠居の臨終の床に侍ったお奈良さまだったが、やはり我慢できずに一発放ったオナラと同時に、ご隠居は事切れたのだった。それを許さじと、唐七の妻子はお奈良さまを激しく糾弾するのだったが……安吾流ファルス(笑劇)の極み!(28頁・★3.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022467
「神伝魚心流開祖」 坂口安吾
貧乏大工の一人息子、カメは頭は足りないが大飯ぐらい、器用なことはできないが根気だけはある。そのカメが山に籠り渓流で魚を捕るために磨いた潜水術は、腹に固くギッシリと息を畳み込むという独特の呼吸法で川底を「歩く」という唯一無二の秘術であった。大きな米の〝ミソ漬けのムスビ〟とヨメをもらえるとの誘惑に駆られて山を降りてきたカメは、そのヨメや村人とのすったもんだの末、藩主に見出されてお抱えの指南番に。安吾流〝開祖伝〟の白眉!(40頁・★5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022474
「織田信長」 坂口安吾
フンドシカツギのマゲをゆい、ユカタの着流しに、片ハダ脱いで、人の肩につるさがって、瓜をほおばり歩いている……異形の餓鬼大将・信長はしかし、戦だけは強かった。何をするにもイノチガケ、いつ死んでもよかった信長は、その故に生とは何ものであるかを最もよく知っていた。極めて合理的な人間像だが、論理の発想の根本が違っているがために家来たちにも理解されなかった信長を「イノチガケ」という独自のキーワードで捉えた、目の覚めるような信長像。(44頁・★5.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022481
「梟雄」 坂口安吾
〝美濃のマムシ〟とも呼ばれ、下克上の世を悪辣に狡猾に、かつ鋭利な頭脳と胆力で生き抜いた斎藤道三の生涯を描く。下級武士の家に生まれ、仏門に入って頭角を現わした法蓮坊(道三)だったが、結局は出自と金に将来を左右されることに倦んで還俗し、油売の行商で富を築く。やがて美濃の斎藤家に取入って持前のしぶとさで国を手中に。破天荒な信長には密かに親近感を覚え、一方、血のつながりのない長男、義龍とは……長良川の戦いでの最期の描写は必読!(40頁・★5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022498
「我鬼」 坂口安吾
太閤秀吉は時に鷹揚に見えたが、実は狭量で変質的に嫉妬深く、小心者だった。信長の夢を踏襲した朝鮮出兵は大失敗。老いて授かった鶴松を亡くし慟哭の日々を送っていたが、期せずして秀頼が生まれ、もはや最大の願望は関白を秀次から秀頼に継がせることだった。水と油の如く性格の合わない甥の秀次を秀吉は忌み嫌ったが、秀次も太閤の卑小さを軽蔑する反面、恐れ慄いてもいた……天下人の業の深さと残酷なまでの運命を描く。(24頁・★3個)
330円 (税込) [JAN]4582628022504
「勝夢酔」 坂口安吾
〈近代日本に於いては最大の、そして頭ぬけた傑物〉勝海舟を生んだのは、時代でもあり天分もあろうが、彼に具わる天才と筋金は、何よりもその父、勝夢酔という「棒腹絶倒的な怪オヤジ」から授かったものだった。ひと言で言えば「一生涯ガキ大将」を通した夢酔は、名うての剣術つかい、喧嘩は滅法強くその胆力と叡智で人助けもしたが、いつも得る扶持はわずか、つまりは「人生の詩人」だった……この魅力溢れる人物像を一筆書きのように活写した名篇。(12頁・★1.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022511
「花咲ける石」 坂口安吾
上州利根郡の辺りでは幕末に至るまで剣術が盛んだった。ある時、その里のひとつ、追貝にやってきて住み着いた楳本法神という剣の達人がいた。剣のみならず学識高くオランダ医学にまで通じ、また神のごとく高潔だった。その四人の弟子の一人、房吉がある御家人に見染められ、江戸に出て道場を開くことになった。が、腕に覚えのある江戸の剣豪誰一人として房吉に敵わない。江戸に失望して田舎に帰った房吉だが、知らず深い恨みを買い……異色の剣豪小説。(32頁・★4個)
330円 (税込) [JAN]4582628022528
「傲慢な眼」 坂口安吾
ある辺鄙な県庁所在地に赴任してきた県知事は、都会的で派手な振舞いで地元民を驚かせていたが、東京からやってきた美しい一人娘を見て、人々の彼に対する目は尊敬に変わった。ある夕方、祭礼の賑わいにいた娘は、雑踏の中から自分に注がれる「傲慢な眼」を感じる。その視線の主は背は六尺もあるが、朴訥として絵の好きな中学生だった。二人は砂丘に連なる林の中でモデルと絵描きとして向き合うことになるが……爽やかな読後感を残す純愛小説。(12頁・★1.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022535
「紫大納言」 坂口安吾
花山院の御時、紫大納言という人がいた。齢五十を過ぎ醜く太っていたが、たいそう色を好み、夜毎おちこちの女のもとに通っていた。ある夏の夜、突然の雷雨の中、大納言は道端の叢に光る小笛を拾った。やがて雨は上がり、行手に白衣の天女が現れ、その笛は月の国の姫のもの、私は侍女だがその笛を返して欲しいと迫られた。大納言は天女の香気に酔い、白い肉合いに心乱れて意地悪くも天女を地上に留めようと小笛を返すのを拒んだが……愛欲と官能に狂う男の運命を描く!(32頁・★4個)
330円 (税込) [JAN]4582628022542
「禅僧」 坂口安吾
貧しく救いようがないほど疲弊した雪国の寒村に、身持ちの悪い若い禅僧が住んでいた。その禅僧が狂おしいほどに惚れたお綱という農婦は奔放で淫乱、野性の赴くまま手当たり次第に男を誑かす淫婦だった。女同士の諍いに始まり若い男たちを相手取った暴力沙汰まで、スキャンダラスな逸話に事欠かないお綱ではあったが、禅僧は恋情やみ難く結婚を申し込むものの、母親から莫大な結納金と扶助料を要求され……安吾版「カルメン」ともいえる一篇。(24頁・★3個)
330円 (税込) [JAN]4582628022399
「道鏡(上)」 坂口安吾
持統以来、世を司った女帝の中でも、孝謙天皇は自らの「女の性」が大きく歴史を動かしたという意味において特異だった。高貴さの反面、女性としては信じがたくウブだった孝謙に付け込んだ恵美押勝は一時権力をほしいままにしたが、やがて現れた道鏡に身も心も奪われた孝謙によって破滅させられる。一方、通説では悪僧として知られる道鏡は……愛欲と権力欲が渦巻く歴史のダイナミズムを独自の解釈で描く本格歴史小説!(32頁・★4個)
330円 (税込) [JAN]4582628022566
「道鏡(下)」 坂口安吾
持統以来、世を司った女帝の中でも、孝謙天皇は自らの「女の性」が大きく歴史を動かしたという意味において特異だった。高貴さの反面、女性としては信じがたくウブだった孝謙に付け込んだ恵美押勝は一時権力をほしいままにしたが、やがて現れた道鏡に身も心も奪われた孝謙によって破滅させられる。一方、通説では悪僧として知られる道鏡は……愛欲と権力欲が渦巻く歴史のダイナミズムを独自の解釈で描く本格歴史小説!(28頁・★3.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022573
「握った手」 坂口安吾
大学生の松夫はどんなに美人でも相手の顔をまともに見られないほど内気な青年だったが、ある日、映画館で無謀にも隣の女性の手を握りしめてしまい、それがきっかけでその女性、綾子と交際を始める。すでに社会人である綾子と結婚を考え詰める松夫だが、綾子があの時、なぜ自分の手を握り返したのか、考えるだに悩ましくもあり、女性とはそういうものかを確かめるため、同級生、水木由子の手を強引に握りしめてしまい……純愛と運命の皮肉を巧みに描く名篇。(32頁・★4個)
330円 (税込) [JAN]4582628022580
「お魚女史」 坂口安吾
徹夜で原稿を書き上げた朝、泊まり込んでいた弁吉というお調子者の編集者が取り次いだのは美人には違いないが、口を開けば一変、お魚みたいな喋り方でいきなりまくしたてる「お魚女史」だった。老陸軍中将のオメカケだというお魚女史が、ある嵐の夜にやってきた。ちょうど凹井狭介と般若有効という文士仲間(さてモデルは誰?)と酒を飲んでいる最中、お魚女史が取り出したのは三つのピースの箱。そこから賭博が始まって……身辺雑記をカリカチャイズした異色短篇。(28頁・★3.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022597
「夜長姫と耳男(上)」 坂口安吾
ヒダ随一のタクミと言われた親方に見込まれ、弱冠二十歳にして親方の代わりに夜長の長者の元に送られた耳男は、名うての名工、青ガサと小釜と競い、夜長ヒメを守り給う尊いホトケを刻むことになった。妖しい美貌をまとったヒメのエキセントリックな言動に反発もし、どうしようもなく惹かれていく耳男の運命やいかに……サディスティックな美女を描かせたら右に出る者なし! 「桜の森の満開の下」にも通ずる安吾の耽美的世界の真骨頂!(36頁・★4.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022603
「夜長姫と耳男(下)」 坂口安吾
ヒダ随一のタクミと言われた親方に見込まれ、弱冠二十歳にして親方の代わりに夜長の長者の元に送られた耳男は、名うての名工、青ガサと小釜と競い、夜長ヒメを守り給う尊いホトケを刻むことになった。妖しい美貌をまとったヒメのエキセントリックな言動に反発もし、どうしようもなく惹かれていく耳男の運命やいかに……サディスティックな美女を描かせたら右に出る者なし! 「桜の森の満開の下」にも通ずる安吾の耽美的世界の真骨頂!(36頁・★4.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628022610
「波子」 坂口安吾
「死花を咲かせる」などと口に出しはじめた父親は、仕事盛りの頃は小胆で、大きな失敗はなかったが、大したこともできなかった。ここらで一発、と素振りに出そうものなら慌てて水をかける母親は、しかし驚くほどの美貌の持ち主。そんな両親の間に育った波子をこのところ悩まし続けているのは、父母が揃って勧める縁談だった。相手は謹厳そのものだが何の面白味もない。父母それぞれの目論見をもって波子に決断を迫るのだったが……。(48頁・★6個)
330円 (税込) [JANコード]4582628022627
「おみな」 坂口安吾
母に対しては憎しみしか覚えないものの、ふと気がつくと愛する女はみんな母に似ている。そんなパラドックスを抱える「私」だったが、「惚れてはいないが然し愛さずにはいられない」、女なしには生きるはりあいがないのだった。私のために家出した女と、短刀を懐に追いかいけてくる良人から逃れるため東京を離れたのだが、ある日、捨ててきたはずの一人娘が訪ねてきた。予期せぬ愁嘆場に自失する私……安吾節が炸裂する情事のうらおもて。(16頁・★2個)
330円 (税込) [JANコード]4582628022634
「青鬼の褌を洗う女(上)」 坂口安吾
サチ子はこのところ自分の中に母親の面影を見てうんざりしている。母親はオメカケで自分の娘もオメカケにしようと企んでいたが、大空襲で焼け死んでしまった。何より貧乏が嫌いで退屈が大好き、自由奔放に生きていたいサチ子だったが、戦後は徴用先の会社の専務・久須美に囲われることになる。一時は気弱な力士・エッちゃんと出奔しようともしたサチ子だったが結局は……女のひとり語りを借りて「堕落論」の思想を小説に昇華させた安吾文学の極致!(48頁・★6個)
330円 (税込) [JANコード]4582628022641
「青鬼の褌を洗う女(下)」 坂口安吾
サチ子はこのところ自分の中に母親の面影を見てうんざりしている。母親はオメカケで自分の娘もオメカケにしようと企んでいたが、大空襲で焼け死んでしまった。何より貧乏が嫌いで退屈が大好き、自由奔放に生きていたいサチ子だったが、戦後は徴用先の会社の専務・久須美に囲われることになる。一時は気弱な力士・エッちゃんと出奔しようともしたサチ子だったが結局は……女のひとり語りを借りて「堕落論」の思想を小説に昇華させた安吾文学の極致!(48頁・★6個)
330円 (税込) [JANコード]4582628022658
「風博士」 坂口安吾
〈諸君は偉大なる風博士を御存知だろうか? ない。嗚呼〉——自殺を偽装した風博士殺人の容疑をかけられた主人公が、警察の取り調べに答える形を借り、風博士の遺書を引用しながら、蛸博士との確執を、大上段に構えたユーモラスな語り口で綴るナンセンス・コント。アテネ・フランセの仲間たちと出した同人誌「青い馬」に掲載。牧野信一から絶賛され、ファルス(笑劇)の精神を唱えて文壇へ登場するきっかけとなった作品。(16頁・★2個)
330円 (税込) [JAN]4582628020258
「私は海を抱きしめていたい」 坂口安吾
“神様の国へ行こうとしながら、いつも地獄の門を潜ってしまう”ような「私」だが、ある女と出会い、はじめて安心を得た。その女は貞操の観念をまったく持たず、しかも不感症だった。また女に劣らず貞操の観念に乏しい私は、もはや恋も出来ず、ただ淫蕩がゆえに透明で清潔な女の肉体をのみ愛した。あるとき女と温泉に行った私は、荒れ模様の海岸を散歩していて一瞬の幻覚にとらわれた。「女の無感動な、ただ柔軟な肉体よりも、もっと無慈悲な、もっと無感動なもっと柔軟な肉体」……それが海だった。(20頁・★2.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020869
「いずこへ」 坂口安吾
工場街にひとり住む「私」のアパートに、女が通ってくるようになった。生活にかかわるものを置かない主義だった私の部屋に、女は鍋釜をはじめいろんな物を持ち込んだ。何も持たないことで、すべてを所有したかった私が一人の女を所有したの間違いだった。私の魂は廃頽し荒廃した。良人と別れて出てきた女は、私とどこか遠くの町で暮らしたがり、実際そうした。新居に押しかけて居座ってしまった女アキ、二人の女の間で自らの生き方に倦む私。デカダンスそのものを描き、堕ちきった先の世界を希求した作品。(44頁・★5.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020876
「桜の森の満開の下」 坂口安吾
大昔、桜の森の下は、そこに行けば気が変になるくらい怖しいところだった。鈴鹿峠に住む残酷きわまりない山賊でさえ、桜の森の下の道を通るときは肝が冷えた。ある日、道ゆく夫婦を襲った山賊は、夫を殺して妻を奪った。八人目になるその女房は、怖いほど美しく、そして信じられぬほど残虐だった。山賊をたぶらかして都に出た女房は、山賊に頼んで狩ってきた首で遊ぶ。そんな都の暮らしが堪えられない山賊は、女房を引き連れて桜の森の下へと……幻想と美と残酷が同居する異世界。(44頁・★5.5個)
本体価格:300円 [JANコード]4582628021521
「幸福への道」 素木しづ
まばゆい光に溢れた秋の一日。足が不自由で松葉杖をついた「彼女」は、恋人とともに電車に乗って「静かな、空の広い野」をめざします。しかし野の幸福を求める心はまた、夜のかなしみを抱いてもいました。彼女の弱い肉体に征服された心は、すべてが寂寥に、すべてが悲哀に終りはしないか、という不安に慄きがちでした。果たして「無上の光に輝いてる花の広い野」はあるか? 恋がはらむ喜びと不安を象徴性に満ちた文章で鮮やかに描いた名篇。(20頁・★2.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020081
梅田 蔦屋書 ポケットアンソロジー 「幸福への道」
田畑書店公式通販サイト https://tabatashoten.shop-pro.jp/?pid=178804890「幸福への道」 素木しづ
「西班牙犬の家」 佐藤春夫
愛犬フラテと散歩に出た〈私〉は、ずんずんと進むフラテの後に従って、未知なる雑木林の奥深くに足を踏み入れる。「この地方にこんな広い雑木林があろうとは」次第に好奇心に駆られた〈私〉は、やがて林の奥にぽつんと建った一軒の西洋風の家の前に出た。その家には主人はおらず、ただ一匹の真っ黒な西班牙犬がのっそりと横たわっていた……見慣れた田園の風景の中に、日常からふと遊離した幻想的な世界を描き出す傑作短篇小説。(20頁・★2.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020241
《川柳アンソロジー みずうみ》
「空うつす」佐藤みさ子
「みずうみ」というテーマを前にして、その大きさ静けさ美しさに身動きできない私でした。天災は為すすべなく、人災は止むことのないこの世。川柳は何を書けばいいのか、川柳とは何なのかと、迷い続けています。それでも川柳があったから私は生きてこられたのであり、川柳のおかげですばらしい人と作品に出会えたのです。(著者より)(12頁・★1.個)
330円 (税込) [JAN]4582628022245
「若芽」 島田清次郎
ある文士が逝った。彼の第一作は、文学雑誌に掲載されるや称賛を浴び、文壇の話題となった。しかし、東京へ住まう文士の音沙汰が絶えると、父親は彼の元を尋ねる。華々しい称賛の影で彼は蹉跌をきたし、病に臥すほどとなってしまっていた。病臥しながらも彼は原稿を書き続け、自らの死を迎えることが先か、原稿の完成が先かの瀬戸際を彷徨う。彷徨の末に完成した原稿を父親に託すも、老いは確実に父親にも刻まれていた——。(20頁・★2.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020883
「銅鑼」 菅忠雄
大正期、東京の上流家庭。二十歳の長男を頭に八人の子供たちを抱えるこの家の生活は、銅鑼に始まり銅鑼に終わっていた。そこに訪れたのは主人が父親がわりに育てた甥、演劇にかぶれ家を出て俳優となった謙吉だった。今度の舞台のために銅鑼を借りたい、との謙吉の申し出を首肯した主人。一家で観劇して我が家の銅鑼の出世を喜んだが、果たして生活のリズムを失った家庭の行く末はいかに……物と心の豊かなつながりを描いた佳品。(12頁・★1.5個)
330円 (税込) [JAN]4582628020890
「星の女」 鈴木三重吉
天上から美しい下界を眺めつつ、いつかあそこへ下りてみたいと憧れていた〈星の女〉の三姉妹は、蜘蛛の王様に頼み込み、ある日、蜘蛛の糸をつたって地上へと下り立ちました。ところがいちばん下の美しい妹は、着物をなくしたことから天上に帰れなくなってしまいました。その着物をとってしまった若い猟人と〈星の女〉は結婚したのですが……英語圏で紹介されたインドの説話に材をとりながら、詩的できらびやかなj独自の幻想の中に運命の悲哀を描いた童話の名作。(32頁・★4個)
330円 (税込) [JAN]4582628020098