私たちはどんな「世界」に生きたいのか
松下竜一論ノート

山口 泉 著
四六判 704ページ 上製
定価 8,800円(税込)
ISBN 978-4-8038-0464-5
CコードC0095
2025年4月16日発売

紹介

「日本文学」が真に文学であるためには?――社会の中で市民と共にあろうとしたノンフィクション作家・松下竜一(1937年~2004年)。生涯の文業の総検証を通じ、その意味と問題を明らかにするとともに、近代160年の「日本文学」に根本的に欠落してきたものをも併せて問う。戦後文学を批判的に継承する作家による、徹底考察。東京電力福島第1原発事故・コロナ禍・構造的貧困の果て、滅亡の危機の迫るなか、人間の命と尊厳を死守するため、今まさに読まれるべきテキスト群。全1600枚・総700ページ。

目次


Ⅰ 燦然たる黎明
  燦然たる黎明
  間奏曲、ただ一度だけの黄金
  「生活者」が「運動者」となるとき
  「労働」としての〝文学〟
  「やさしさ」と「憎しみ」
Ⅱ 生命の秘儀
  青春の第一次史料
  「歴史の著作権」は誰にあるか
  「青春」の秘儀、精神の「性愛」
  荘厳の書
  「私小説」から/「私小説」を超えて
Ⅲ 資本主義の彼岸へ
  〈女たち〉から個個人の「連帯」を──
  資本主義の彼岸へ
  人が人であり続けるための闘い
  〝いわれなき「差別」〟とは何か?
  「ほんとうの怒り」の美しさについて
Ⅳ 闘いこそが民の「遺産」
  日本の擬似〝近代〟の形
  人を「直接行動」から隔てるもの
  覚醒を促しつづける「声」
  闘いこそが民の「遺産」
Ⅴ 天皇の影の下に
  「美しい文章」は、きょうもまた、なお──
  「転向」と「玉砕」──沖縄の友への手紙
  天皇・死刑・人権
  「世界」を縦に切ることと横に切ること
  「贖罪」の功利性をめぐる、簡略な覚書
Ⅵ そして、私たちは──
  人が「世界」と出会うということ
  ただ一冊の「本」
  引かれた線の、こちら側の「幸福」
  「正しく偏る」ということ
  愛と友情の「歴史」
  私たちはどんな「世界」に生きたいのか
  自註ノート
  後 記──四半世紀ののちに

著者プロフィール

山口泉(やまぐち いずみ)
作家。1955年、長野県生まれ。1977年、東京藝術大学美術学部在学中に『夜よ 天使を受胎せよ』で第13回太宰治賞優秀作を得、文筆活動に入る。以後、小説と評論の両面から現代世界の自由の問題を追求。2019年以降、絵画制作も再開。