三木卓 単行本未収録作品集 ヌートリア
三木 卓 著 小谷野 敦 編
四六判 288ページ 上製
定価 2,300円+税
ISBN 978-4-8038-0449-2
Cコード C0093
2024年10月25日発売
紹介
昨年11月、惜しまれつつ逝った著者の、最後に遺された単行本未収録の短篇小説、追悼文、鎌倉の文芸誌「そして」に連載されていたエッセイを収める。巻末に三木卓文学を愛してやまない編者・小谷野敦氏の解説と年譜を収める。
詩人として、また作家、児童文学者として生涯活躍し続けた著者のスワンソング。
目次
〈短篇小説〉
ヌートリア
来訪したもの
咳
夏、そして冬
幸福感について
寝台自動車
病室
〈追悼文ふたつ〉
辻章さんのこと
小田さんありがとう
〈文芸誌「そして」に連載されたエッセイ〉
異性の目
ハッピーエンド
わが土台
小説を書きだした頃のことから
文学者の認められかた
ああ、ジョン・レノン
八公の神さま
解像度と段差
録音音楽について
二〇一四年二月
最近のこと、ひとつ
これからの文学
ぼくはターザン
身の上相談からはじまって
随筆文学の衰退について
【解説】三木卓の世界 小谷野敦
三木卓 年譜
三木 卓 (ミキ タク)
1935年、東京に生まれる。2歳時に父の仕事の関係で大連に移住。以後、46年まで満州各地で過ごし、引揚げ後、静岡市で育つ。早稲田大学文学部露文科を卒業後、日本読書新聞、河出書房新社で編集者として働く。在学中より詩を書き始め、67年、『東京午前三時』でH氏賞を、71年、高見順賞を受賞。72年ごろから文芸誌に小説を発表。並行して児童文学の創作や翻訳の分野でも活動する。73年、「鶸」で芥川賞受賞。84年、『ぽたぽた』で野間児童文芸賞受賞。86年、『馭者の秋』で平林たい子賞、89年、『小噺集』で芸術選奨文部大臣賞、97年、『路地』で谷崎潤一郎賞、2000年、『裸足と貝殻』で読売文学賞、また評伝『北原白秋』05年、藤村記念歴程賞、蓮如賞、および06年、毎日芸術賞、そして13年、『K』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞する。23年、死去。享年88歳。
小谷野敦(コヤノアツシ)
1962年、茨城県に生まれる。東京大学文学部英文科卒同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了。学術業博士。2002年、『聖母のいない国』でサントリー学芸賞を受賞。評論・随筆では1999年刊でベストセラーとなった『もてない男』をはじめ、『〈男の恋〉の文学史』『江戸幻想批判』『恋愛の昭和史』『谷崎潤一郎伝―堂々たる人生』『川端康成伝―双面の人』『江藤淳と大江健三郎』など著書多数。小説では10年「母子寮前」で、15年「ヌエのいた家」で芥川賞候補となる。(両作とも同名で書籍化)ほか小説集として『悲望』『童貞放浪記』『東十条の女』が、また最新刊として、自伝『あっちゃん――ある幼年時代』がある。