私たちは孤独感や無力感を感ずる時、
あるいは心がひどく傷ついている時、
親身になってくれる人を求めることがある。
そのこの比喩は、他の純文学作品と私小説が、
決定的に異なる一つの要因を示唆している。(本文より)
いい私小説を読むと、なぜわれわれの魂は慰められるのだろう。
そしてなぜ、くり返し読んでも飽きないのだろう。
文学の故郷に、〈受容する主体(読者)〉という方向から
全く新しいアプローチをはかった、気鋭の文芸評論集。
救済の文学
岸間 卓蔵
2019年4月24日 発売
価格 1,980 円(税込)
ハードカバー上製版 212ページ
ISBN978-4-8038-0358-7 Cコード C0095
岸間 卓蔵(キシマ タクゾウ)
1989年、千葉県生まれ。上智大学大学院神学研究科博士前期課程修了。平成生まれのゆとり世代。東京環状国道16号線沿線に在住。
書評
2019年06月23日 | 東京新聞/中日新聞 朝刊 |
2019年05月18日 | 産經新聞 朝刊 評者: 富岡幸一郎 |
目次
Ⅰ 救済の文学
ドイツの自伝小説と日本の私小説 8
救済の文学──何故、私小説は一部の人から熱狂的に迎えられるのか 14
創作者と読者との神秘的邂逅──受容理論の盲点 45
文学より神秘へと至る道──十九世紀ロマン主義と写実・自然主義の系譜 54
Ⅱ 日本の文芸において
文芸の土壌問題──近代における日本語と日本文学の宿命 80
オイコス的芸術観──日本の芸術に見られる一傾向 96
日本近代文学の土壌に流れる二つの水脈 111
Ⅲ 文学史研究
トルストイとリアリズムに関する三つの考察 134
文芸復興前史──「プロ文」時代から文芸復興へ 152
雑誌『風景』について──文学とマス・メディア 181
あとがき 204
参考文献 208